商標登録とは?

商標とは、商品やサービスの目印として使われるものです。商標登録とは、特許庁に商標の登録出願をし、審査を経て正式に登録を受けることを意味します。なぜ商標登録が必要なのかといえば、商標登録しないと、その商標について商標権を生じさせることができないからです。商標権とは、商標を独占排他的に使用できる権利を言います。
商標権は、知的財産権の1つで、財産的な価値を持つものです。特定の商標が付いていることで、消費者はその商品やサービスに一定の価値があることを認識し、安心して購入することができます。つまり、商標により安定した売上が保証されるのです。
しかし、商標登録をしていなければ、商標権がないことになります。商標権がないということは、他人が勝手に自己の商標を使用しても文句は言えないということです。
商標権があれば、第三者が無断で商標を使用した場合に、法律にもとづき差し止めや損害賠償を請求することが可能になります。逆に、自らが商標登録をしていれば、他人から商標権侵害で訴えられることもありません。
商標権を持っていれば、他人に使用許諾を与えたり、商標権そのものを譲渡したりして、収益を上げることも可能になります。商標の財産的価値を明確にし、法律上の保護を受けたいなら、商標登録は欠かせないということです。

商標の種類

商標には、いくつかの種類があります。商標法では、商標とは「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」(2条1項本文)であることが前提条件とされており、これに該当するものであれば商標登録できる可能性があります。
時代の移り変わりとともに、登録可能な商標の種類も変わってきました。文字やロゴに限らず、特定の商品やサービスを識別する働きをするものは、商標登録が可能です。
現在、商標登録できる商標の種類は、文字商標、図形商標、記号商標、立体商標、結合商標、色彩商標、音商標、動き商標、ホログラム商標、位置商標の10に分類されます。

文字商標

文字商標とは、文字だけで構成されている商標です。文字には、漢字、ひらがな、カタカナ、アラビア数字、ローマ字などが含まれますが、一般取引通念上、文字として認識できるものである必要があります。一般に知られていない特殊な言語などは、文字商標としては扱われません。

図形商標

図形商標とは、文字が含まれておらず、図形のみからなる商標です。図形には、事物を写実的に表した図、デザイン(図案化)されたもの、幾何学模様などさまざまなものがあります。ロゴマークやキャラクターなどは図形商標です。

記号商標

記号商標とは、マル(○)、カク(□)、ヒシ(◇)などの記号のみからなる商標です。記号商標と図形商標は、実務上はあまり区別されていません。もっぱら記号のみの組み合わせからできている商標については、図形商標ではなく、記号商標と呼ぶことがあります。

立体商標

立体的な形状からなる商標を言います。店頭に設置される広告用の人形(例 カーネルおじさん)や、商品や包装容器を特異な形状にしたもの(例 コカ・コーラの瓶)などは、立体商標です。立体商標は、平成8年の商標法改正により商標登録が可能になりました。

結合商標

文字と文字(意味の異なる複数の文字列)を組み合わせたもの、文字と図形を組み合わせたもの、複数の図形を組み合わせたもの、文字と記号を組み合わせたものなど、2つ以上の商標の組み合わせにより構成される商標を結合商標と言います。

色彩商標

色彩商標とは、色彩のみからなる商標です。単色または複数の色彩の組み合わせのみから構成され、図形と組み合わせになっていないもの、すなわち輪郭がないものが色彩商標と呼ばれます。特定の企業や商品をイメージさせる色彩であれば、色彩商標となり得ます。たとえば、MONO(トンボ鉛筆)の青・白・黒の色彩の組み合わせ、セブンイレブンの白・オレンジ・緑・赤の色彩の組み合わせなどが色彩商標として登録されています。

音商標

音楽、音声、自然音などで構成されるものです。視覚では認識されず、聴覚で認識されるものになります。CMなどで使用されるサウンドロゴなど、その音を聞いて特定の企業をイメージさせるような音であれば、音商標として商標登録が可能です。

動き商標

文字や図形などが時間の経過に伴って変化するものです。動き商標は、商標の動きや変化を含めて登録されることになります。文字や図形などの形状が広告宣伝時に変化したり特徴的に動いたりする場合に、動き商標になり得ます。菊正宗のCMで紫の風呂敷がほどけていき一升瓶が姿を見せる動きは、動き商標として登録されています。

ホログラム商標

ホログラム商標とは、文字や図形などがホログラフィー(レーザー光線を利用した技術)などの方法によって、見る角度によって変化するものになります。ホログラムとは、ホログラフィーによって立体画像を記録したものです。ホログラム商標は、見る角度によって変化しますから、その変化の態様を含めて商標登録されます。

位置商標

位置商標とは、文字や図形などを商品に付す位置が特定されている商標になります。商品や包装容器の特定の位置に共通の目印として特定の文字や図形などがデザインされる場合には、その位置も商標の必須の構成要素となるため、位置商標として登録することが可能です。

商標の区分

商標法では、「商標登録出願は、商標の使用をする一又は二以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならない」(6条1項)、「前項の指定は、政令で定める商品及び役務の区分に従ってしなければならない」(6条2項)と定められています。
商標登録出願をするときには、商標法施行令で定められている「商品及び役務の区分」を指定する必要があります。商品及び役務の区分には45の区分があり、第1類から第34類までが商品、第35類から第45類までが役務(サービス)となっています。
商標権があれば、何にでも独占的にその商標を使用できるわけではありません。商標権とは、一定の商品・役務の範囲について商標の使用を独占できる権利です。商標登録を受ける際には、その商標がカバーする商品(指定商品)や役務(指定役務)を指定しておかなければなりません。指定商品・指定役務というのは、商標権の権利範囲を確定するものになります。
商標登録したい場合には、1つまたは2つ以上の指定商品・役務の区分を指定し、区分内にある商品・役務の中から商標権を得たい商品・役務を指定して出願します。なお、指定商品・役務が区分に分けられているのは、出願・登録時の手数料徴収の便宜のためです。区分が多くなるほど、手数料がかかってしまうことになります。

登録商標とは

登録商標とは、商標のうち、特許庁に登録されているものを言います。商標が登録されていなければ、商標権は発生しません。商標を登録して登録商標となれば、商標権にもとづき、独占排他的な利用ができるようになります。
「○○は△△社の登録商標です」という表示を見かけることがあると思いますが、登録商標となればこのような表示が可能です。「R」を丸で囲んだものも、「The registered trademark symbol」の意味で、登録商標であることを示しています。
登録商標の表示は、法律上は努力義務とされており、必ず表示しなければならないわけではありません。しかし、登録商標の表示をすることで、商標権があることを明らかにすることができます。一般の人には、商標だけを見てそれが登録されているかどうかは、すぐにわからないからです。登録商標であることを明確に表示すれば、第三者に勝手に商標を使わせないようにする効果があります。
商標を登録商標とするには、特許庁に出願し、審査を経なければなりません。どんなものでも登録されるわけではなく、すんなり登録できないケースもあります。出願しても登録できなかった場合には、登録商標とはなりません。この場合には、その商標を独占排他的に利用することはできないことになります。

商標登録と登録商標の違い

商標登録とは、商標が特許庁に登録されること、すなわち登録手続きや登録された事実を意味します。商品やサービスに使っている商標がある場合、商標権を得て独占排他的な利用をしたいなら、商標登録の手続きを行わなければなりません。商標登録をするためには、特許庁への出願手続きを行って、審査を受ける必要があります。
なお、出願しても、商標登録されるとは限りません。特許庁での審査の結果、拒絶理由(商標登録ができない理由)がない場合、もしくは拒絶理由があってもこれが解消した場合には、登録査定がおります。登録査定を受けた後、登録料を納付すれば、無事商標登録は完了したことになります。
登録商標とは、登録された商標そのもののことです。商標登録の手続きが完了すれば、商標は登録商標となります。登録商標は、独占排他的な利用が可能な商標です。登録商標となれば、Rマークをつけたり、商標と一緒に登録番号を記載したりすることもできます。
我々が普段耳にするような企業の商標のほとんどは、登録商標と考えてよいでしょう。商標を登録商標にしなければ、類似品がどんどん出回ってしまいます。企業において、商品やサービスの販売活動を行っていくためには、商標を登録商標とすることは欠かせないのです。

商標登録の目的

商標登録をするには、手間や費用がかかります。何のために商標登録するのかがよくわからないという人もいるかもしれません。手間や費用をかけても、商標登録するメリットは大きくなっています。
商標登録の目的は、一言で言うと、商標権を得ることです。商標権とは、商標を独占排他的に利用できる権利です。商標登録をすれば、他人が同一や類似の商標を無断で使用することを防止できます。ブランディングのためには、商標権は必須です。
商標権は知的財産権の1つとして財産的価値があるもので、収益を生みます。商標権を譲渡すれば、対価を得ることができます。また、他人に商標の使用許諾を与えることもでき、この場合にはライセンス料という収入を得ることが可能です。

商標権を取得し無断使用を防止

商標登録すれば、商標権を得ることができます。商標権とは、知的財産権の1つで、商標を独占排他的に利用できる権利です。商標権は財産的価値のあるもので、売却等をしてお金に換えることもできる権利です。
他の会社が自分の会社の商標をマネするなどして無断使用した場合でも、商標権がなければ文句を言うことはできません。商標権があれば、無断使用に対して、差し止め請求や損害賠償請求をすることができます。
商標権は商標を使っていれば自動的に生じるものではなく、登録によって生じるものとされています。また、商標登録に際しては先願主義が採用されています。自社の方が先に商標を使い始めたのに、他社が同じ商標を先に出願した場合、自社は商標登録を受けられなくなってしまいます。
商標権を取得したいなら、できるだけ早く出願して商標登録しなければなりません。商標登録が完了し、商標権を得ることができれば、他人の無断使用を防ぐことが可能になります。

商標登録によるライセンス収入

商標登録して商標権を得た場合には、自己が使用するだけでなく、他人に対して使用許諾(ライセンス)を与えるという活用方法があります。他人にライセンスを与えれば、使用許諾料(ライセンス料)を払ってもらうことが可能です。ライセンス収入も商標登録の目的の1つと言えるでしょう。
他人に商標のライセンスを与えることは、自社にとってのみメリットがあるわけではありません。他社にとっても、認知度が高く信用力がある商標を利用できることは、大きなメリットになり得ます。
なお、ライセンスには、専用使用権と通常使用権の2つがあります。専用使用権とは、第三者に対しても独占権を主張できる使用権で、特許庁への設定登録が必要です。専用使用権を設定すれば、商標権者自身もその商標を使用できなくなります。通常使用権とは、当事者間の契約で設定できるもので、許諾を受けた人は契約の範囲内で登録商標の使用が可能です。通常使用権の場合には、許諾を受けた人は第三者に対して独占権を主張できないことになります。

商標登録によるブランディングによる差別化

商標登録は、商品やサービスのブランディングに有効です。ブランディングとは、ブランドに対する顧客の信頼や共感を得るという、いわゆる「ブランド戦略」のことになります。 ブランドには、自社製品と他社製品を区別する力があります。消費者は、特定のブランドの商品なら一定の品質が保証されていると考えて購入します。ブランドは、顧客吸引力であるとも言えます。同じ種類の商品がたくさんある中から自社の商品を選んでもらうためには、ブランドにより信用を獲得するのが効果的です。
自社の商品ブランドを作るにあたって、商標登録を行えば、他社が同一や類似のブランド名を使うことを防ぐことが可能です。そのブランド名の商品は自社でしか販売することができなくなり、消費者も他社の商品との違いを明確に認識できるようになります。商標登録は、自社の商品の差別化を図る上で、欠かせないものです。商標登録を行うことで、顧客吸引力を確立することが可能になります。

商標登録のメリット

商標登録するメリットは、自分だけがその商標を独占排他的に利用できるようになることです。商標登録をし、商標権を獲得すれば、指定した商品や役務については、他人が無断で同一や類似の商標を使うことを禁止できます。もし無断使用があった場合には、法律にもとづき差し止め請求や損害賠償請求が可能です。
また、商標登録すれば、他人の商標登録を防止することもできます。まだ商標を使っていない場合でも、あらかじめ商標登録しておくことで、他人に同じ商標を使わせないようにすることができるということです。もし他人が先に商標登録してしまったら、その商標は使えなくなってしまいます。商標を実際に使用する前でも、商標登録することにはメリットがあるのです。
商標登録をすれば、商標の財産的価値を明確にし、財産活用ができる点もメリットです。商標権者は他人にライセンスを与えて商標の使用を許諾することができ、これにより収益を上げることができます。また、商標権を譲渡することにより、対価を得ることも可能です。

商標登録のデメリット

商標登録のデメリットとして挙げられるのは、費用がかかることです。出願の際には、特許庁に出願手数料を納付しなければなりません。商標登録されたら、登録料も納付する必要があります。登録料は一度払ったら終わりではありません。5年または10年分を払い、その後も商標権を存続させたければ払い続ける必要があります。
商標登録には手間がかかるというデメリットもあります。出願してすんなり登録できるケースばかりではありません。特許庁から拒絶理由通知が来たら、意見書や補正書を提出して対応する必要もあります。専門知識がなければ対応するのが難しいケースでは、弁理士に依頼しなければなりません。弁理士に手続きを依頼した場合には、特許庁に払う費用以外に、弁理士の報酬も発生します。
商標登録には、時間がかかるのもデメリットです。出願後、順調に進んだケースでも、登録までには6か月程度がかかります。登録を受けるまでは商標権は発生しないため、差し止め請求などもできません。ライセンスを設定して商標権を活用したい場合でも、すぐには難しいということです。

商標登録の費用

商標登録をする際には、費用がかかります。商標登録の費用とは、特許庁に払う手数料(印紙代)と弁理士(特許事務所)に払う費用(報酬)の2種類です。
商標登録を自分で行う場合には、弁理士費用はかからないため、特許庁に払う費用のみ負担したのでかまいません。しかし、商標登録の手続きには手間がかかる上に、調査や審査対応には法律的な専門知識も必要になります。商標登録の手続きは、弁理士に依頼した方が安心でしょう。
特許庁に払う手数料については、国で決められているため、どこに依頼しても同一です。一方、弁理士費用については、それぞれの事務所で料金体系が違います。また、商標登録の手続きをまとめて依頼した方が、それぞれの手続きを個別に依頼するよりも、費用が安くなるのが一般的です。

調査費用

商標登録出願をするにあたっては、事前調査が欠かせません。他人が既に同じ商標を登録していれば、自らが商標登録を受けることはできないからです。
商標調査では、データベースを利用して先行商標を検索し、類似性の判断を行います。商標調査は、通常は特許事務所(弁理士事務所)に依頼することになりますが、かかる費用の相場は3万円程度です。出願を前提として事前調査を行う場合には、調査料が無料となっている事務所もあります。

出願費用

商標登録出願の際には、特許庁に支払う出願料が必要です。商標出願は、指定商品・役務の区分ごとに行いますが、出願料は、

3,400円+(区分数×8,600円)

となっています。

たとえば、区分が1つの場合には、出願料は12,000円です。区分が2つになると、出願料は2万600円になります。
商標の出願手続きを弁理士に依頼した場合には、別途弁理士費用がかかります。商標出願の弁理士費用も区分数に応じて変わりますが、区分が1つの場合には3~7万円程度が相場です。

審査対応費用

商標を出願したら、特許庁の審査を受けることになります。審査の結果、拒絶理由がなければ登録へと進みますが、拒絶理由がある場合には拒絶理由通知が届きますから、意見書や補正書の提出が必要になります。意見書等を提出しても拒絶理由が解消されない場合には拒絶査定を受けますが、拒絶査定に対して不服審判を申し立てることも可能です。
拒絶理由に応答する場合には特許庁に払う費用はありませんが、拒絶査定に対して不服審判(再審請求)を行う場合には、

15,000円+(区分数×40,000円)

の費用がかかります。
なお、弁理士に審査対応を依頼する場合には、別途弁理士費用(報酬)が発生します。審査対応の弁理士費用は、案件の難易度によって変わってきますが、4万円~数十万円程度です。

登録費用

商標登録することに問題がないと判断されれば、特許庁から登録査定を受けることになります。登録査定を受けた後、特許庁に登録料を払うことにより正式に商標登録され、商標権が発生します。
商標権の存続期間は10年で、登録料は1区分につき28,200円(10年分)です。なお、商標の登録料を払うときには、5年ごとの分納を選べます。分納の場合には、1区分につき16,400円(5年分)です。
弁理士に依頼した場合の登録時の手数料(報酬)の相場は、1区分につき2~7万円程度となっています。

更新費用

商標の登録期間は、10年です。10年経過後も引き続き商標権を維持し、法的な保護を受けたい場合には、更新手続きが必要になります。
商標の更新手続き(更新登録申請)の際に特許庁に対して払う費用は、1区分につき38,800円(10年分)です。5年ごとの分納の場合には、1区分につき22,600円(5年分)となります。
商標の更新手続きを弁理士に依頼した場合の手数料(報酬)は、事務所によってまちまちですが、相場としては、2~4万円程度になります。

商標登録の流れ

商標登録をするまでには、さまざまな手続きが必要です。まず、商標を出願する前提として、事前調査で先行商標の有無を調べなければなりません。事前調査の結果、商標登録される見込みがあるようなら、特許庁に対して願書を提出することにより、出願を行います。
出願後は、特許庁の審査を受けますが、そのままでは登録できない「拒絶理由」がある場合には、拒絶理由通知が届きます。拒絶理由通知に応答し、拒絶理由が解消すれば登録査定となります。拒絶理由がない場合には、出願後、早ければ6か月程度で登録査定となります。
登録査定を受けた後、登録料を納付すれば、商標登録が完了します。なお、商標の登録期間は10年なので、10年ごとに更新手続きが必要です。

事前調査

商標登録する前には、先行商標の登録や出願がないかどうかを調査しておかなければなりません。先行商標があれば、出願しても拒絶されてしまうからです。事前調査は、コンピュータのデータベースを使って行います。類似の商標があった場合には、登録の可否について見きわめ、出願するかどうかを決める必要があります。

商標登録出願書類の作成

出願することになったら、願書(商標登録願)を作成しなければなりません。出願には、願書を紙で作成して提出する方法と、電子出願する方法があります。電子出願するには事前に手続きが必要なので、初めての場合には通常は紙で出願します。
願書の書式は特許庁のホームページで参照できます。願書には商標見本を記載するかコピー等して貼り付けなければなりません。また、指定商品・役務の区分と、具体的な指定商品・役務を記載します。

集配郵便局等で特許印紙を購入

商標の出願時に特許庁に払う費用は、特許印紙を願書に貼付して納める必要があります。特許印紙はどこの郵便局でも扱っているわけではありません。集配郵便局などで購入する必要があります。なお、特許庁に願書を直接提出する場合には、特許庁で特許印紙を購入できます。

特許庁に提出

紙の願書を作成した場合には、特許庁宛郵送します。郵便局に差し出した日が出願日となるので注意しましょう。なお、郵送するときには、特定記録、簡易書留、書留など、発送したことの証拠が残る方法で行う必要があります。また、宛名面の余白には「商標登録願在中」と記載しましょう。

電子化手数料を納付

紙の願書を提出した場合には、登録情報処理機関において、記載事項の電子化の手続きが行われます。そのため、電子化手数料の納付が必要です。
電子化手数料は、出願日から数週間後に送られてくる払込用紙で納付します。電子化手数料の金額は、

1,200円+(700円×書面のページ数)

となっています。

拒絶理由通知が来てしまった場合

商標の出願をした後、拒絶理由通知が来ることがあります。拒絶理由通知は、商標を登録できない理由が記載された通知書です。拒絶理由通知が来たら、そのままでは登録されません。登録を希望する場合には、拒絶理由通知の内容に応じた対応をしなければなりません。
通常は、拒絶理由通知が届いたら、40日以内に手続補正書または意見書を提出します。なお、この期間は特許庁に延長申請することで1か月延長が可能です。
たとえば、手続補正書で指定商品の記載を補正すれば、拒絶理由通知が解消することもあります。また、審査官の指摘に対して過去の登録例などから反論する意見書を提出して登録を認めてもらうよう交渉することもあります。
拒絶理由通知に対する対応には、専門的な知識が必要になるため、弁理士に依頼するのがおすすめです。

商標登録のよくある質問

商標登録は個人でもできますか?

商標登録をするには、願書を作成して特許庁に提出する必要があります。願書を提出後、スムーズに進んだ場合には、登録料を納付するだけです。願書の作成はそれほど難しくはないので、個人で手続きすることもできます。しかし、商標はスムーズに登録ができるケースばかりではありません。費用がかかっても、弁理士に依頼した方がメリットになることが多くなります。
まず、商標を出願する前提として、事前調査が必要になります。事前調査を行う目的は、商標を出願したときに登録されるかどうか判断するためです。この判断には専門的な知識が必要になります。きちんとした判断をしないまま出願手続きを行った場合には、余計な手間がかかるだけでなく、費用の無駄も生じてしまいます。
また、商標出願した後に、拒絶理由通知が来た場合の対応も、弁理士に依頼しなければ困難なケースが多くなります。つまり、弁理士に依頼する意味は、商標を登録可能な状態にしてもらえるということです。
弁理士には、商標登録後の期限管理を行ってもらえるというメリットもあります。登録料の納付や更新の手続きを忘れてしまうと、商標権が消滅してしまい、大変なことになります。商標登録の手続きは、専門家である弁理士に依頼した方がよいでしょう。

商標権が消滅することはありますか?

商標権の存続期間は、商標登録の日から10年です。更新の手続きを行わないまま10年が経過してしまうと、商標権は消滅します。
また、商標権の存続期間内でも、登録料を納付しなかった場合には、商標権が消滅することになります。登録料を10年一括で払う場合には、商標権を10年間存続させることが可能です。一方、5年ごとの分納にする場合、後期の登録料を支払わなかったら、商標権は5年で消滅します。
異議申し立てにより商標登録が取り消され、商標権が消滅するケースもあります。商標が登録された後は、登録の内容が商標公報に掲載されますが、公報の発行日から2か月間は誰でも異議申し立てができるようになっています。異議申し立てがあった場合には、特許庁で再度審理が行われることになり、場合によっては商標登録が取り消されてしまうことになります。
商標登録に無効理由がある場合には、無効審判が行われることがあります。この場合、無効という審決が出れば、商標権は初めから存在しなかったものとみなされます。
このほかに、一定期間登録商標を使用していない場合や、商標権者の不正使用があった場合などに、商標の取消審判が行われ、登録が取り消しになるようなケースもあります。

店舗名やブランド名は商標登録できますか?

店舗名は、一般に、商標登録することが可能です。顧客は店舗名によって、そのお店のサービスを識別しています。他人が勝手に同じ店舗名を使って商売を始めたら、困ったことになるでしょう。店舗名も、商標登録することにより、メリットになることは多くなります。
店舗が1店舗しかない場合には、店舗名を商標登録する必要性は、それほど高くないかもしれません。店舗名は、その地域でのみ通用するものだからです。しかし、店舗をいくつも設置し、全国展開を考えている場合などには、商標登録しておいた方がよいでしょう。店舗名を商標登録すれば、他人が同じ店舗名で同種の商売を行うことができなくなります。商標登録により、自らの店舗の顧客吸引力を高められるということです。
なお、ブランド名については、基本的には商標登録は可能と考えられます。商標登録とは、そもそもブランド名を登録する制度になります。単なる商品の普通名称は商標登録できません。ブランド名を付け、それを商標登録することにより、他人の商品やサービスとの差別化が可能になるのです。ブランド名を商標登録すれば、他人が同じ商品やサービスに同じブランド名を使うことができなくなりますから、ビジネスを行う上で大きなメリットになります。

すでに登録されている商標を確認する方法はありますか?

既に登録されている商標(先行商標)を調べることは可能です。他人が先行商標を登録している場合や出願中である場合には、自分が出願しても商標登録を受けることはできません。商標登録出願の前提として、先行商標の調査は必須です。先行商標の調査では、拒絶例も抽出することができるので、出願すべきかどうかを検討する上でも役立ちます。商標登録出願をする際には、先行商標調査から行うのが通常です。
先行商標は、調査用データベースを使って検索することができます。調査用データベースには無料のものと有料のものがあります。無料の調査用データベースは、独立行政法人工業所有権情報・研修館が提供している「J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)」です。J-PlatPatはインターネットを通じて誰でも利用ができるので、まずはJ-PlatPatで検索し、必要に応じて有料のデータベースを使うとよいでしょう。
J-PlatPatは特許庁のデータベースで、商標出願・登録情報を調べられるほか、呼称検索や図形商標検索ができるようになっています。なお、J-PlatPatに出願情報が反映されるまでには出願後概ね1か月程度かかります。調査を行う直前に同一の商標が出願されている場合には、検索に引っかからないことがあります。

商標登録を5年間にするか、10年間にするか、どう判断すればよいですか?

最近、ネット上に広告を掲載している弁理士・特許事務所の中には、商標登録5年を推奨しているかのようなところも散見されます。
商標登録を5年間とすると、一見安くすみそうに見えるのですが、実際のところはどうでしょうか?
この点について、考えてみたいと思います。

まず、商標権の基本的事項からお伝えします。
特許庁に商標登録出願という手続を行い、特許庁の審査を経て商標登録をすると商標権が発生します。
商標権は、登録商標を独占的に使用をすることができる権利です。
商標権の効力は、日本全国に及びます。
そして、商標権の存続期間は10年間で、何度でも更新をすることが可能で、更新を繰り返すことにより半永久的に権利を維持することもできます。

このように商標権の存続期間は10年間ですので、商標登録も10年間(つまり商標登録料を10年分特許庁に納める)とするのが原則です。
商標は、商品・サービスの出所識別機能(商品・サービスの出所を識別する標識としての働き)を本質的な機能としています。つまり、商標は商品・サービスと結びついているものと考えることができます。
商品・サービスの移り変わりの早い昨今の経済環境の中、商品・サービスの中には10年間ももたない、つまり10年間も商標登録が必要ないと考えられるケースもあります。
そこで、商標登録を5年間ごとに行う制度も用意されるようになりました。商標登録を5年ごとに行うことを「分割納付」や「分納」と呼んだりすることがあります。

10年分の商標登録料と5年分の商標登録料とでは、当然、5年分の商標登録料の方が安くなります。
そのため、冒頭述べましたように、価格競争の激しいネット上の弁理士・特許事務所は、5年分の商標登録料を提示することが多くなっています。

商標登録料の分割納付制度が存在している理由、すなわち、ライフサイクルが短い商品・サービスに対応した商標登録制度を提供することに適った商標であれば、確かに5年分の商標登録料の納付は有効です。
しかし、何でもかんでも5年の商標登録を薦めるのは誤りといえます。

具体的に、金額を見ていきいます。
商標登録料は、45通りに分類された商品・サービスの区分の数によって決まります。
例えば、「パン」という商品と、「ビール」という商品に使用する商標であれば、「第30類」(パン)と「第32類」(ビール)という2つの区分で商標登録をするという具合です。
商標登録料が10年分の場合は、¥28,200×区分の数 になります。
商標登録料が5年分の場合は、 ¥16,400×区分の数 になります。

ここで考える必要があるのは、商標登録が5年間を超えて必要となった場合です。
10年登録の場合は、上述の通り、¥28,200×区分の数で済みます。
一方、5年登録の場合は、上述の¥16,400×区分の数という商標登録料を2回納付する必要があり、結局、¥32,800×区分の数が必要となります。
つまり、5年登録を2回繰り返すと、10年登録より割高になってしまいます。

実は、もう1つ重要な注意点があります。
商標登録料を弁理士に頼む場合、弁理士報酬(商標登録料納付手数料)が発生します。
商標登録料納付手数料の金額は、弁理士・特許事務所によりマチマチです。区分の数にかかわらず定額(弊所は定額¥10,000(税別)です)のところもあれば、区分の数によって倍々に金額が大きくなるところもあります。

10年登録の場合は、10年間で商標登録料納付手数料は1度発生しますが、5年登録を2回繰り返す場合は10年間で商標登録料納付手数料が2度発生してしまいます。
5年登録を推奨している弁理士・特許事務所が多くなってきているのは、上述のように安く見えることに加え、弁理士報酬を多く頂けるからという理由もあるかもしれません。
しかし、クライアント様の利益を最優先させるならば、やみくもに5年登録を薦めるのはいかがなものかと考えます。

以上の通り、割高な商標登録料と倍の弁理士報酬を支払うことを考えると、5年登録を選択することは慎重に行うべきです。
例えば、会社名の商標登録や個人事業主の方の屋号の商標登録、飲食店・美容サロン等の店舗名の商標登録など、一般的に長期間にわたって使用することが予測される商標については、10年間の商標登録をお薦め致します。

商標の「公報」とは何ですか?

「公報」とは、”官庁から一般国民に発表する報告”とされています。
商標に関する公報も同様で、特許庁が一般国民に対して、商標に関する報告を目的として発行するものです。

商標に関連する公報は何種類かありますが、ここでは、代表的な商標に関する公報について、ご説明致します。

公開商標公報

まず1つめが「公開商標公報」です。
公開商標公報は、特許庁に商標登録出願をした後、2週間から20日程で発行されます。
商標出願後2週間から20日程度なので、通常は、まだその商標は商標登録されていません。

つまり、公開商標公報は、”このような商標が特許庁に商標出願されていますよ”ということを、特許庁が国民に知らせるために発行されるものと考えられます。
ですので、公開商標公報には、出願された商標、指定商品・指定役務と区分、商標登録出願人の情報などが掲載されます。

中小企業、個人事業主の方は、なかなか公開商標公報を見る機会がないかもしれませんが、公開商標公報をタイムリーにチェックすると、次のようなメリットがあります。
・自社で使用している商標が他人によって商標登録出願されていないかどうか知ることができる。
・もし自社で使用している商標が他人によって商標登録出願されてしまったら、近い将来、その商標がその他人によって商標登録されてしまう可能性があります。この場合、その時点で、自社の商標を変更して、その他人の商標権を侵害してしまうことを回避したり、「情報提供」という手続を利用して、その他人の商標が商標登録されるのを阻止することを試みることができます。
(「情報提供」は、特許庁に対して、当該商標登録出願には商標登録すべきでない理由があることを証拠等ともに情報を提出して、当該商標登録出願の審査に用いてもらい、商標登録されるのを阻止しようとするための手続です。)

商標公報

次が「商標公報」です。
これは、特許庁の商標審査を経て商標登録された商標に関する情報が掲載された公報です。
商標公報は、商標登録された後、1ケ月程で発行されます。

商標公報は、”このような商標が特許庁に登録された”ということを一般国民に知らせるための公報です。
商標公報をタイムリーにチェックすることで、やはりメリットがあります。
・商標公報に掲載された商標は、すでに商標登録された商標なので、商標権が発生しています。ですので、それと同じような商標を使用してしまうと、当該商標を侵害してしまうおそれがあります。商標権者から警告を受けてしまう前に商標の変更を検討する等、早期に何らかの対策を講じることができます。
・商標登録された商標について、特許庁に商標登録の取消しを求める「登録異議の申立て」という手続があります。
前述の情報提供は、商標登録されてしまうのを事前に阻止するための手続でしたが、異議申立ては、商標登録されてしまった商標の取消しを求める手続です。この異議申立てに関連して、商標公報は非常に重要な意味を持ちます。
異議申立ては、誰でも申立てを行うことができますが、申立てができる期間には定めがあります。それは、商標公報の発行日から2ケ月以内となっています。つまり、商標公報をチェックして、自社のビジネスに都合の悪い商標が登録されたことを確認したら、急いで異議申立てをすべきか検討する必要があります。

公報の意味

以上、商標に関する代表的な公報2種について、その活用方法等をご説明しました。
しかしながら、現実に、中小企業・個人事業主の方が、自社に関連する商品・サービスの分野の公開商標公報・商標公報をくまなくチェックするのは困難であると思われます。
ですので、上記の公報の活用方法を実践するのは現実的ではないかもしれませんが、次のことは是非ともご理解を頂いておいた方が良いと思われます。
冒頭述べましたように、公報は、”官庁から一般国民に発表する報告”です。
一般国民である、中小企業・個人事業主の方が、これらの商標に関する公報、つまり特許庁の報告を見るかどうかは別として、これらの公報に掲載された情報は、誰しもが”見得る”状態にはなります。

商標権を侵害してしまった場合に、”知らなかった”では済まないといわれるのは、1つはこの公報の存在になります。

他人の商標が特許庁に登録された情報は、一応、誰でも商標公報を見ること等で知ることができます。
中小企業・個人事業主であって、事業者である以上、こうした情報を確認して、他人の商標権を侵害しないよう注意を払うべきだという考えがあるため、基本的には”知らなかった”では済まされないのです。

商標登録出願のご依頼

出願をご希望の商標をどのような商品・サービスにご使用になられるかをお聞きして、適切な願書を作成して、特許庁に願書を提出致します。

まずは、お見積りをご希望の場合は「出願ご希望の商標」欄に、その旨記載ください。
お見積りは無料です。お気軽にお問い合わせください。

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