飛沫防止用パーテーションの商標登録はどうなる?

昨今のコロナ禍において、「新しい生活様式」が提言されています。
こうした中、コロナ前には、あまり目立った存在ではなかったもの、或いは、存在していなかったものの中に、大きな注目を集めているものがあります。
その代表格は、オンラインミーティングやオンライン飲み会等をするためのツールだと思います。
そして、もう一つは、新型コロナウィルスの飛沫感染を防止するためのパーテーションやシート、パネルのようなものでしょう。

本稿では、飛沫防止用のパーテーション等について、特に、それらの商品の名称を商標登録する際の注意事項を検討致します。

商標登録には指定商品・指定役務が必要

商標登録というのは、商品やサービスの名称(ネーミング)などの文字や、キャラクターやロゴマークのような図形のマークを特許庁に登録することで、これにより、登録した名称やマークを独占して使うことができるようになります。
つまり、他の会社や事業者に、登録した商標と同じような商標を使わせないようにすることができます。

ここで、注意が必要なのは、商標登録をする場合、確かに商標を登録するのですが、商標の他に、その商標をどのような商品・サービスに使うのかを決める必要があります。
この商品・サービスを「指定商品」・「指定役務」と呼んでいます。

ですので、商標登録した商標は、オールマイティーに、あらゆる商品・サービスの分野で独占使用できるわけではなく、指定商品・指定役務の範囲内で独占使用できるのです。

商標登録をすると、「商標権」という権利が発生し、商標権は、その商標権の範囲内で商標を独占使用することができる権利なのです。

そして、商標権の範囲は、登録した商標と指定商品・指定役務で決まります。

全ての商標が商標登録できるわけではない

商標登録は、特許庁に商標を登録することですが、特許庁は、どんな商標でもなんでもかんでも登録してくれる訳ではありません。

特許庁に商標登録してもらうためには、まず、特許庁に「商標登録出願」という手続をしますが、商標登録出願をした商標は、特許庁で商標登録をすべきかどうか審査をします。
”こういう商標は商標登録すべきでない”と、商標のことを定めている「商標法」という法律に書いてありますので、特許庁は、主に、このような商標法の規定に従って審査をしています。

”どのような商標が”商標登録すべきでない”と商標法に規定されているかについて、代表的なもの次にご説明します。

(1)指定商品・指定役務との関係で一般的な名称である商標は商標登録できない

例えば、指定商品が「パン」で、商標が「食パン」のようなケースです。
商標「食パン」は、指定商品「パン」の分野では一般的な名称だから、商標登録できないのです。

(2)先行する他者の登録商標と同じような商標は商標登録できない

商標登録をすると商標を独占使用できると上で述べましたが、同じような商標が重ねて複数の事業者に商標登録できてしまうと、商標登録しても独占使用できなくなりますよね。
だから、このような場合、一番早く商標登録出願した人が商標登録できて、遅れた人の商標は、商標登録できないのです。
念のため、ここで、”同じような商標”というのは、商標が同じようなだけではなく、指定商品・指定役務も同じような場合を意味しています。ですので、商標自体が似ていても、指定商品・指定役務が全く異なれば、商標自体が似ていても複数の事業者が重ねて商標登録できることはあります。

(3)指定商品・指定役務が不明確な商標は商標登録できない

商標権の範囲は、商標と指定商品・指定役務で決まると述べましたが、指定商品・指定役務が不明確だと、商標権の範囲も不明確になって、どこまでが商標権の範囲に入るのか、どこからは商標権の範囲に入らないのかがわからず、つまり、商標権を侵害するのかどうかわかりくく、ビジネスの場面で混乱が生じてしまうので、このような事態を防ぐ必要があるためです。

不明確な指定商品・指定役務

上でみました、”商標登録すべきでない”との商標法の規定のうち(3)は、商標法第6条に規定されています。
指定商品・指定役務が不明確であると、商標法第6条に違反しているため商標登録すべきでないとなるのです。

少し補足します。
商標法第6条は、さらに、指定商品・指定役務は、適切な区分に従って記載することとされています。
商標では、商品・サービスが第1類~第45類までの45通りの「区分」に分類されていて、指定商品・指定役務は、適切な区分に属するように記載する必要があります。

一般的には、商標法第6条違反で商標登録すべきでないと特許庁から指摘を受けることは、それほどありません。
たまに、あまり商標に馴染みのない弁理士が関わった案件では、商標法第6条違反が指摘されていることが散見されますが。

ただし、商標のベテラン弁理士でも商標法第6条違反を指摘されることがあります。
それは、クライアントの商品・サービスが今まで世の中に存在していなかったり、あまり知られていないような場合に、それを指定商品・指定役務に記載する場合です。
先例がありませんので、先例に従うわけにもいきませんし、また、特許庁も先例がない指定商品・指定役務を認めにくいためと考えられます。

飛沫防止用パーテーションの指定商品は?

前置きが随分と長くなりましたが、ここからが本題です。

冒頭にのべました、新型コロナウィルスの飛沫感染を防止するためのパーテーションやシート、パネルなどは、指定商品にどのように記載して、どの区分に入るのでしょうか?

最もよくみかけるのは、パーテーションやパネルタイプのものですが、おそらく、区分は第20類になると思われます。第20類には、「つい立て」などが入りますので。
指定商品としては、「飛沫感染防止用パーテーション」とでもなるのでしょうか。

コンビニエンスストアのレジなどに、天井からビニール製のシートが飛沫感染防止用に吊り下げられていることがよくありますが、あのシートがどの区分に入るのか、やや悩ましいところです。

第17類には、「プラスチック製のシート」などが含まれますが、第17類のこのシートは、未加工品や半加工品で最終製品ではないので、少し違うような気もします。

第20類には、「屋内ブラインド」、「すだれ」、「装飾用ビーズカーテン」、「日よけ」などが含まれますので、むしろ、こちらの方が近しいようにも思えます。

指定商品の記載としては、「飛沫感染防止用樹脂製シート」くらいの表現になるのでしょうか。

おそらく、こうした商品の商品名について、今後、商標登録出願が増えてくると予測されますので、どのように審査されるのか注視していきたいと思います。

 

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