アフターコロナの商標登録の展望

2020年5月7日、緊急事態宣言が延長された中、ゴールデンウイークが明けました(長いゴールデンウイークの方はまだゴールデンウイーク中かもしれませんね)。
未だ新型コロナウイルスの収束も見えず、先行き不透明な状況であります。
ここで述べるまでもありませんが、新型コロナウイルスは社会・経済等に甚大な悪影響を及ぼしています。

しかし、このようなコロナ禍ではありますが、新しい気付きのようなことも見受けられます。

例えば、会議、飲み会、セミナーなどは、従来であれば、複数人が一堂に会して行われるのが一般的でしたが、コロナ禍では、呼び方は色々あるかと思いますが、「リモート会議」、「WEBセミナー」、「オンライン飲み会」のようなことが盛んに行われているようです。
以前から、特に会議やセミナーなどは、オンラインで行われるケースもありましたが、ここまで当たり前のように行われてはいなかったと思います。
会議、セミナー、飲み会などをオンラインで行うことのデメリットもあるのかもしれませんが、私見ではメリットも大きいように思います。会場までの移動時間と交通費がかかりませんし、遠方からでも参加をすることができます。

今ぱっと思い浮かぶのは上述した会議、セミナー、飲み会くらいですが、オンラインでも実施可能な事柄は他にたくさんありそうです。

アフターコロナで注目すべきは「リモート」?!

今後、遠隔地でも利用可能な新しいサービスがどんどん出てくることが予測され、利便性が向上することも期待できます。

そのような新しいサービスは、おそらく多くは、WEBを利用してオンラインで提供され、地方に在住の方でも都市部に出向く必要がなく、また、自宅から出ることなく、サービスを受けることができることになるのでしょう。

こうしたサービスは、「WEB〇〇」とか「オンライン△△」のような名称が付けられることもあると考えられますが、私見では「●●リモート」又は「リモート●●」といった名称が多くなってくるように思います。

「WEB」や「オンライン」という言葉からは、一般的には、”インターネットで通信する”というような意味合いが想起されると思います。しかし、このような意味合いからは、そのサービスの特徴やメリットがあまり伝わってきません。

そのため、上述しましたように「リモート」という言葉が頻繁に使われるようになるのではないかと思うのです。

「リモート」というと、”遠く離れている”というような意味合いなので、サービス名称として使われると、”遠く離れていても受けられるサービス”という印象を与えることができますので、そのサービスの特徴やメリットが伝わりやすいと考えられます。

このようなことから、今後、「●●リモート」又は「リモート●●」といったサービスの名称が増えてくることが予想されます。

「リモート」をサービス名称に使うのはキケン?!

「●●リモート」又は「リモート●●」のようなサービス名称が増えるということは、「●●リモート」又は「リモート●●」という名称の商標登録出願が増えることにつながります。

「●●リモート」又は「リモート●●」という名称が商標登録出願され、特許庁の審査に通り、商標登録されると、一定の範囲で、商標登録された商標と同一又は類似の商標は使うことができなくなります。”使うことができなくなる”というのは、より正確に言いますと、そのような商標を使ってしまうと、商標登録した人(又は会社等の法人)から、使用の差止請求や損害賠償請求をされるということになります。

つまり、今後、「リモート」という言葉を含むサービス名称を安易に使うとキケンかもしれないということです。

実際にどのような「リモート」商標があるか?

2020年5月13日時点の調査では、片仮名の「リモート」かアルファベットの「REMOTE」の文字を含んでいる登録商標と出願中の商標は、合わせて300件存在しています。

この中で、最も古い(最も早く出願された)商標は、1962年に特許庁に商標登録出願されています。
1962年は、今から58年前になりますので、この58年間で「リモート」か「REMOTE」を含む商標が300件商標登録出願されたことになります。

そして、2020年1月1日以降に商標登録出願された、「リモート」か「REMOTE」を含む商標の件数は29件です。これらは、2020年5月に調査したものですが、直近1ケ月間程度のデータは調査できない(データベースの情報が未収録)ため、実際に調査できているのは、2020年4月上旬頃までに商標出願された案件です。
したがって、この約4ケ月間で約1割の「リモート」か「REMOTE」を含む商標が出願されていることになりますので、明らかに増えている様子が伺えます(これら29件の中には、いわゆる”商標ブローカー”のような人の商標出願も多く含まれています。)。

次に、2020年1月1日以降に商標登録出願された、「リモート」か「REMOTE」を含む商標を以下に示します。

「REMOTE SENSING」「REMOTE LISTEN」「REMOTE VIEW」「リモート視聴」「REMOTE CLASS」「REMOTE OPERATOR」「SMART CONSTRUCTION Remote」「アイリモートコンストラクション i-RemoteConstruction」「リモートコンストラクション RemoteConstruction」「エアーリモート」「リモートワーカー協会」「リモート賃貸」「リモート申込」「リモート契約」「リモート重説」「リモートワークアウト」「リモートサプリ」「リモートワーク」「REMOTE SENSING」「REMOTE WEARABLE」「REMOTE NAVI」「REMOTE HEADPHONE」「REMOTECLOUD」「REMOTE LISTEN」「REMOTE VIEW」「リモート視聴」「REMOTE CLASS」「REMOTE OPERATOR」「リモートワーク指数」

 

今後、ますます「リモート」又は「REMOTE」を含む商標登録出願が増えていくものと予想されますので、繰り返しになりますが、他人の商標権を侵害してしまうリスクを避けるためには、「リモート」又は「REMOTE」を含む商標を使用する際には、事前に商標の調査をすべきです。
(ちなみに、「リモート」又は「REMOTE」を含む商標に限らず、商標を使う前に、その商標を使用しても問題がないか調査をすべきことは言うまでもありません。)

 

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