世の中の商標・ネーミングを見ていると、”よくありがちな”商標・ネーミングを見かけることがあります。
”よくありがちな”というのは、同じような発想でネーミングされた商標とでも言うのでしょうか。後程、具体的な例を挙げてご説明致します。
このような”よくありがちな”商標・ネーミングが世の中に多く見られるということは、当然のことながら、多くの事業者がそのような商標を使用しているのですが、使用しているだけではなく、既にそのような事業者が商標登録をしてしまっている可能性も大きいと考えられます。
他の事業者が既に商標登録している商標を使ってしまうと、その事業者の商標権を侵害してしまうリスクもありますので、実は、”よくありがちな”ネーミングを使用するのは結構リスクがあるものです。
(厳密に言いますと、商標登録は、その商標を使用する商品・サービスの分野を指定して商標登録しますので、商品・サービスの分野が全く異なれば、同じ商標を使用したとしても商標権侵害にはならない可能性もあります。)
そこで、この「キケンな商標シリーズ」では、上で述べたような”よくありがちな”商標・ネーミングをご紹介していきます。
「〇〇の窓口」商標のタイプ分け
本稿は、「キケンな商標シリーズ」の第一弾として、「〇〇の窓口」(以下、「の」が入らない「〇〇窓口」も含みます。)という商標をご紹介致します。
2020年2月18日調査の段階では「〇〇の窓口」という登録商標・出願中商標は468件存在しています。
「〇〇の窓口」とは、典型的には、店舗を構えて何らかのサービスを提供する事業に使われる商標・ネーミングであると思います。最近では、実店舗を構えていなくても、ネット上の店舗でのサービスにも使われているかもしれません。
古くからある有名な「〇〇の窓口」商標の代表格は、JRの駅で見かける「みどりの窓口」ではないでしょうか。
比較的に最近よく見かけるのは「ほけんの窓口」です。
本稿でご紹介するのは、「みどりの窓口」タイプではなく、「ほけんの窓口」タイプの商標です。
「みどりの窓口」タイプと「ほけんの窓口」タイプとは何だ?ということですが、これは、私が勝手にタイプ分けしたものなのですが、「〇〇の窓口」という商標の「○○」の部分に着目して、「○○」がその窓口で提供されるサービスの内容を表しているかどうかという点で区別しています。
「みどりの窓口」の「みどり」は、特にサービス内容を表しているとは思えませんが、「ほけんの窓口」の「ほけん」は、サービス内容である「保険」のことを意味していると思われます。
「みどりの窓口」タイプの「○○」(みどり)の部分は、提供するサービス内容を表している訳ではなく、どちらかといえば無関係の言葉なので、商標として独創的で、それほど”よくありがち”ともいえません。
そのため、このタイプの商標はかぶりにくく、比較的に商標権侵害のリスクは小さいと考えられます(ただし、完全に安全という訳ではありません。)。
一方、「ほけんの窓口」タイプの「○○」(ほけん)の部分は、提供するサービス内容を直接的に表していたり、何らかの関連性のある言葉であったりするので、同種のサービスを店舗を構えて提供する事業者にとっては、”よくありがちな”商標といえます。
つまり、こちらのタイプの商標はかぶりやすく、比較的に商標権侵害のリスクは大きいと考えられます。
そのため、上述しましたように、以下でご紹介するのは、「ほけんの窓口」タイプの商標です。
「ほけんの窓口」タイプの商標のさらなるタイプ分け
上述しましたように、「〇〇の窓口」という登録商標は大変たくさん存在しております。
ですので、ここでは、「〇〇の窓口」商標のうち、「ほけんの窓口」タイプの商標をさらにタイプ分けしてご紹介します。
ここでのタイプ分けも、「〇〇の窓口」の「○○」の部分の内容に応じて分類してみます。
ただし、厳密に分類するのが困難なものもありますので、ややアバウトに近しいものをまとめたような分類方法になっていることをご了承ください。
なお、以下に挙げる例は、「〇〇の窓口」の登録商標の全てではありません。
・建築・不動産・住宅関連
「家の窓口」
「工事の窓口」
「大家の窓口」
「建築の窓口」
「足場の窓口」
「リノバの窓口」
「デザイン住宅の窓口」
「雨漏りの窓口」
「かぐの窓口」
「リフォームの窓口」
「空き家の窓口」
「農地の窓口」
「換気の窓口」
「おうちの窓口」
「農家の窓口」
「満室の窓口」
「マイホームの窓口」
「しろありの窓口」
「園芸の窓口」
「お庭の窓口」
・美容・健康関連
「からだの窓口」
「エステの窓口」
「健康の窓口」
「化粧品の窓口」
「美容の窓口」
・自動車・バイク関連
「免許の窓口」
「クルマの窓口」
「新車の窓口」
「バイクの窓口」
「車検の窓口」
「タイヤの窓口」
「板金の窓口」
「カーリースの窓口」
・ビジネス関連
「フランチャイズの窓口」
「仕事の窓口」
「求人の窓口」
「転職の窓口」
「M&Aの窓口」
「事業承継の窓口」
「オフィスの窓口」
「起業の窓口」
「開発の窓口」
「派遣の窓口」
「企業の窓口」
「研修の窓口」
「かいしゃの窓口」
「リースの窓口」
「買取の窓口」
「売主の窓口」
「売却の窓口」
・資産関連
「おかねの窓口」
「家計の窓口」
「資産の窓口」
「不動産投資の窓口」
「株の窓口」
「仮想通貨の窓口」
「収益不動産の窓口」
「宝石の窓口」
「陶器の窓口」
「査定の窓口」
・エネルギー関連
「エネルギーの窓口」
「電気の窓口」
「電力の窓口」
「省エネの窓口」
「ガス屋の窓口」
「電池の窓口」
・食品関連
「お水の窓口」
「健康食品の窓口」
「お味噌の窓口」
「くすりの窓口」
「地酒の窓口」
・セキュリティ関連
「探偵の窓口」
「防犯の窓口」
「監視の窓口」
「防災の窓口」
「セキュリティの窓口」
・通信関連
「スマホの窓口」
「通信の窓口」
「Wi-Fiの窓口」
「IoTの窓口」
「AIの窓口」
「システムの窓口」
「でんわの窓口」
・老後・終活関連
「終活の窓口」
「相続・遺言の窓口」
「遺贈の窓口」
「老後の窓口」
「遺品の窓口」
「生前整理の窓口」
「定年の窓口」
「認知症対策の窓口」
「お寺の窓口」
「お仏壇の窓口」
「法要の窓口」
「ペットの葬式窓口」
・印刷関連
「印刷の窓口」
「塗装の窓口」
「コピーの窓口」
「塗料の窓口」
・生活・趣味関連
「整理の窓口」
「家事の窓口」
「法律の窓口」
「ゴミの窓口」
「ふくしの窓口」
「観光の窓口」
「ギフトの窓口」
「結婚式会場の窓口」
「婚活の窓口」
「ゴルフの窓口」
「ヨーロッパ馬術の窓口」
「カメラの窓口」
「かつらの窓口」
「着物の窓口」
「どうぶつの窓口」
「ペットの窓口」
「受験の窓口」
「学生の窓口」
まとめ
以上見てきましたように、「〇〇の窓口」という登録商標は非常に多く存在しています。
特に、上で例示したような、「サービスの内容を表す語」と「の窓口」を組み合わせた登録商標は多く、また、このような商標はカブリやすいため、このような商標を使用される場合は、特に事前に商標の調査を行うなど注意が必要です。