2018年(戌年)の商標動向の展望

本記事は2018年1月9日に執筆しています。

年末年始期間後、1月6日から8日までの3連休もあり、本日から本格的な業務開始となる方も多いかと思います。
昨年は大変お世話になりました。本年も弁理士事務所LABRADORをよろしくお願いします。

本記事は、2018年の最初の記事となりますので、今年(2018年)の商標業界の動向を展望してみたいと思います。

昨年(2017年)の振り返り

まずは、昨年(2017年)の商標業界の振り返りをしてみたいと思います。

2017年は、年初からピコ太郎氏の「PPAP」が無関係の者に商標出願されてしまった、というニュースが話題となりました。このニュースは、知的財産や商標関係者、弁理士に限らず、一般の方にも関心の大きい問題として取り上げられていたことを記憶しています。

また、千葉県市原市の地層に基づいて、「チバニアン」という名称が地質年代の名称の有力候補となったことに関連して、当該地質研究者等とは無関係の者が「チバニアン」の名称を商標出願したとか商標登録した、といったことも話題となりました。

さらに前の年になりますが、東京オリンピックのエンブレム騒動(厳密には商標の問題ではなく著作権の問題と思われますが)もありました。

こうした事件により、商標とはあまり縁の無かった方にも商標が身近なものと思われるようになってきたのではないかと思います。

ちなみに、こうした事件が起きると、弊所関連のWEBサイトのアクセスも大幅にアップしています。

また、昨年暮れにご依頼頂きました商標出願の出願番号の枝番を見ると16万9千番台であったので、おそらく2017年は約17万件の商標登録出願があったものと思われます。
日本国内の特許出願の件数が年々減少傾向にあるのに対し、商標登録出願件数は、ここ数年増加傾向にあります。
個人的には、おそらく2018年はさらに商標出願の件数が増えるのではないかと予想しています。
(もっとも、上述した「PPAP」の無関係出願人のように、ある特定の個人・会社だけで1万件とも2万件とも商標出願している輩がいるので、こうした統計情報もややあてにならないところはありますが)。

昨年は(昨年に限らずですが)、外食業界での知的財産権関連の紛争・訴訟も散見されました。
外食・飲食業界は、比較的に人気店・繁盛店を模倣するのが容易なのか、こうした人気・繁盛店の模倣が目立ち、法廷での紛争に発展する事件も多くなってきたように思われます。
こうした外食・飲食業の模倣事件の特徴は、店舗名称についての商標権侵害事件ではなく、不正競争防止法違反の事件が多かったように思われます。その理由としては、商標の問題は、店舗名称の商標の問題になりますが、この部分は、所謂”パクる”方も商標登録されている店名をパクった場合、商標権侵害で訴えられると勝ち目がないことをわかっているので、店舗名称までは同一又は類似の名称は使わずに、それ以外の看板の配色、店舗外観、内装、メニュー、従業員の制服等をパクリ、全体として何となく似ている店づくりをしていることがあり、そうするとパクられた方は、商標権侵害の主張はしにくいので不正競争防止法で争われることが多くなっていると考えられます。

今年(2018年)の商標の動向はどうなるか?

昨年の振り返りでも述べましたが、年々、これまであまり商標に馴染みのなかった方にも商標登録のことが周知されてきているように思われます。
こうした状況の中、今年はさらに商標の出願件数が増加すると予想されます。
特に、今まで商標登録を一度もしたことのなかった事業者の方が初めて商標登録をするケースが増えると思われます。
商標登録は、特にしなくてもビジネスを行うこともできますので、ビジネスにおいて必須のツールではありません。
しかし、商標登録をすることは、自社のネーミングやマークといった商標を守る、つまり、他者に意図的か偶然であるかにかかわらず同じような商標をつかわれるのを防いだり、他者に同じような商標を先に商標登録されてしまって自社がその商標を使えなくなるのを防ぐという重要な意味がありますので、望ましい傾向といえるかもしれません。

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