商標登録におけるクライアント様と弁理士のやり取り

商標登録をしたいとお考えの場合、一般的には、商標登録の手続は弁理士に依頼することになると思います。
本稿では、商標登録をご希望のクライアント様と依頼を受けた弁理士との間で、どのようなやり取りをするのかをご説明致します。

商標出願に必要な情報

商標登録をするためには、まず、商標登録出願(商標出願とか商標申請と呼ぶ方もいらっしゃいます。)という手続を行ないます。
商標登録出願とは、特許庁に商標登録願という願書を提出する手続です。

そのため、商標登録の依頼を受けた弁理士としては、願書に記載する情報をクライアント様からヒアリングを行います。
ヒアリングする情報は次の4つです。

・商標登録をご希望の商標
・その商標を使用する商品・サービス
・クライアント様の氏名又は名称
・クライアント様の住所又は居所

以下、これら4つの情報について、簡単にご説明します。

商標登録をご希望の商標

商標登録をご希望なので、どの商標を登録したいのか、お聞きしないと始まりません。
その商標は言葉(文字)なのか、ロゴマークのように図形なのか、文字の場合特殊な書体での商標登録をご希望なのか、文字と図形とを組み合わせた商標なのか、といったこともお聞きさせて頂く場合があります。

また、その際、必要であれば、例えば、文字の商標を普通の活字体で商標登録する場合と特殊な書体で商標登録する場合、文字だけで商標登録する場合と文字と図形を組み合わせて商標登録する場合などのメリット・デメリットのご説明をさせて頂くこともあります。

商標を使用する商品・サービス

商標を使用する商品・サービスは、ヒアリングの中で最も重要になります(もちろん、他の情報も重要ですが)。

商標を使用する商品・サービスは、「指定商品・指定役務」という願書の記載欄に記載します。
出願した商標が商標登録された場合、指定商品・指定役務について、その登録商標を独占的に使用することができるようになります。
つまり、指定商品・指定役務の記載は、商標とともに、商標権の範囲を定めるという意味合いがありますので非常に重要です。
ちなみに、商標登録をすれば、その登録商標はあらゆる商品・サービスに独占使用できると思われている方もいらっしゃるのですが、そうではなくて、あくまで指定商品・指定役務の範囲で独占使用できることになります。

ここで、よくある間違いを1つご紹介します。

商品・サービスについてヒアリングをさせて頂く場合、”その商標は、どのような商品・サービスにお使いになりますか?”と質問をさせて頂きます。
この問に対して、”ウチの商品・サービスのチラシやパンフレットに表示するから、「広告」かな。”とお答えになられる方もいらっしゃいます。
しかし、このケースでは、確かに商標を広告物に表示していますが、その商標はチラシやパンフレットで案内している商品・サービスの商標として使っていることになりますので、指定商品・指定役務としては「広告」と記載するのではなく、当該商品・サービスの一般的な名称を記載することになります。

商標登録をしたい商標は比較的に間違いにくいのですが、商品・サービスについては、上述のように、間違いやすい場合もあるので、特に慎重にヒアリングをさせて頂きます。

また、指定商品・指定役務の記載を間違えるだけでなく、不足があると、商標登録をしても保護が不十分な商標権となってしまいますので、漏れのないようにしっかりとヒアリングする必要もあります。

逆に指定商品・指定役務を必要以上にたくさん記載すると、商標登録のコストが増し、且つ他人の登録商標と類似と判断され商標登録できなくなる可能性も高くなるというデメリットもあるので、過不足なく指定商品・指定役務を決める必要があります。

クライアント様の氏名又は名称

クライアント様の氏名又は名称は、別の言い方をしますと、商標出願人の名義、その後商標登録された場合は商標権者の名義となります。

ちなみに、「氏名又は名称」とは、個人の名義にする場合は「氏名」となり、法人の名義にする場合は「名称」となるという意味です。

個人事業主の方が商標出願される場合は、その方の氏名で商標出願を行うことになります。個人事業主の方の”屋号”を名義として商標出願をすることはできません。

また、法人の場合でも、社長の個人名で商標出願を行うこともでき、実際、そのようなケースもございます。

クライアント様の住所又は居所

クライアント様の住所は、個人名義で商標出願をされる場合でご自宅を住所とするケースでは、住所の情報が公開されることにご留意ください。

特許庁も住所のような個人情報の取り扱いには、一定の配慮をしておりまして、商標が出願されたことや商標が登録されたことを一般公衆に知らせるための「公報」や特許庁の知的財産権データベース「J-PlatPat」には、商標出願人・商標権者の住所を掲載しなかったり、市区町村名まで記載してその後の番地等の記載は省略をするという対応はおこなっています。

しかし、特許庁に備えられた「商標原簿」には商標権者の住所が番地等を含めて掲載されています。
これは、商標原簿には、商標権の所在を明らかにする必要があるためです。
商標原簿を見る人はあまりいないとは思われますが、一応誰でも見ることができるものですので、ご承知おき頂ければと思います。

お見積りと商標調査結果のお知らせ

以上の4つ情報をお聞かせ頂きましたら、次のステップとしては、弁理士から商標調査結果とお見積り金額をお知らせします。

商標登録をご希望の商標と、その商標を使用する商品・サービスをお聞きしましたので、商標調査を実施することができます。
商標調査は、ご希望の商標と同じような商標が使用する商品・サービスについて、既に他人に商標登録されていないかを確認する作業です。
商標調査は、弁理士・特許事務所によって無料で行うところと有料で行うところがあります。ちなみに、弊所では、文字の商標の場合は有料と無料のいずれかを選択頂け、図形の商標の場合は有料となります。

商標を出願したからといって、全ての商標が登録される訳ではありません。同じような登録商標が既にあると商標登録できません。
商標調査によって、既に同じような登録商標がないかを確認できるので、商標出願したけど商標登録できなかったというリスクを大幅に減らすことができます。
さらには、同じような商標が登録されていて、その商標を使ってしまうと、その他人の商標権を侵害することにもなりかねませんので、この意味でも商標調査は非常に重要です。

以上、商標調査をご説明しましたが、この商標調査の結果をクライアント様にお知らせします。

また、その際、あわせて商標登録にかかる費用のお見積書もお送りします。

商標登録出願手続のご指示

商標調査結果とお見積書をお送りした後は、クライアント様に、調査結果とお見積り金額をご検討頂き、ご納得頂ければ、弁理士に商標登録出願の手続をするようご指示を頂きます。

このご指示を頂ければ、弁理士は願書を特許庁に提出し、商標登録出願の手続が完了します。

商標登録出願後は、約半年ほどで特許庁の一次審査結果の知らせがきますので、そういった進捗については、随時弁理士がクライアント様にご連絡をします。

クライアント様と弁理士とのやり取りの手段

これまで、商標出願のご依頼から商標出願手続完了までの流れを主にご説明しましたが、以上のやり取りは、メール・fax・電話で行うことができます。
そのため、遠方のクライアント様からでも商標登録のご依頼をお受けすることが可能です。
実際、弊所では、全国各地から商標登録のご依頼を頂いております。

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