実例に見るキャラクターの商標登録(はっぴょん)

”実例に見るキャラクターの商標登録”シリーズ第8弾は、我々弁理士を束ねる日本弁理士会のマスコットキャラクター「はっぴょん」を取り上げます。

日本弁理士会のマスコットキャラクター「はっぴょん」

弁理士になるためには、日本弁理士会に加入をする必要があります。
その日本弁理士会のマスコットキャラクターが「はっぴょん」です。
このキャラクターは、1999年に誕生しました。1999年は、弁理士制度ができてちょうど100周年の年で、おそらく弁理士制度100周年を記念して「はっぴょん」が誕生したのでしょう。
「はっぴょん」は、「?」マークが帽子をかぶったような図柄のキャラクターです。
ネーミングの由来は、『アイディアが「はっ」と浮かんだら「ぴょん」と弁理士に相談』というところからきているようです。
少し強引な気もしますが...

「はっぴょん」の商標登録がどうなっているか?

今のところ、21件の登録商標と出願中の商標が日本弁理士会名義で存在しています。
「パテント」、「PATENT ATTORNEY」、「日本弁理士会」、「JPAA」等の文字商標や弁理士バッジのデザインの図形商標等が商標登録されています。

これら日本弁理士会の商標のうち、「はっぴょん」に関するものが3件商標登録されています。
「はっぴょん」の文字商標と、「はっぴょん」の図柄の図形商標と、「はっぴょん」の図柄を含む動き商標の3件です。

日本弁理士会は、知的財産権のプロ、すなわち商標のプロですので、「はっぴょん」の商標をどのような指定商品・指定役務で商標登録をしているのかを知ることは参考になるかもしれません。

「はっぴょん」の文字と図柄の商標は、2000年に商標出願されています。
上述のように、「はっぴょん」が1999年に誕生したので、その後商標出願をしたのでしょう。キャラクターの誕生から商標出願まで少しタイムラグがありますので、知的財産権のプロとしては、商標出願がやや遅いという印象もあります。
これら2件の商標は、第16類、第35類、第41類及び第42類の商品・役務を指定しています。(第42類の役務は、現在では第45類に含まれます。)
3件目の「はっぴょん」の商標は、いわゆる”新しいタイプの商標”で動き商標として、2015年に商標出願されています。
こちらは、第35類、第41類及び第45類を指定しています。

第16類は、雑誌等の印刷物という商品が含まれます。「はっぴょん」を弁理士の会報誌や知的財産権・弁理士に関するパンフレット・チラシ等に表示するためで、実際、そのような印刷物に表示されています。
動き商標は、印刷物に馴染まない場合もあるので、3件目の動き商標では第16類が指定されていません。

第35類は、経営コンサルティング等の役務が含まれます。具体的には、「特許事務所経営の診断及び指導、知的財産権に関する市場調査、知的財産関係の支援を必要とする者への弁理士の紹介、弁理士求人情報の提供等」が含まれます。
これらは、日本弁理士会の活動内容の一部です。

第41類は、「知識の教授」といった”教える”サービスや「セミナーの企画・運営又は開催等」の役務が含まれます。
日本弁理士会では、各種の研修を行っていますので、第41類も指定したのでしょう。

第45類は、弁理士の基本的な業務である「知的財産権に関する手続の代理」が含まれます。
日本弁理士会自体は、このような業務は行わないでしょうが、「知的財産権に関する相談・調査・助言又は指導」、「知的財産権に関する情報の提供」等は行うので、第45類も指定しています。

以前、この”実例に見るキャラクターの商標登録”シリーズで、日本行政書士会連合会のマスコットキャラクター「ユキマサくん」を取り上げましたが、同じ”士業”の団体ではありますが、「ユキマサくん」の方が指定商品・指定役務を幅広く押さえています。
例えば、第14類(キーホルダー等)、第18類(かばん等)、第25類(被服)、第28類(おもちゃ)等を「ユキマサくん」は指定していますので、「ユキマサくん」のキャラクターグッズまで想定していると考えられるのですが、「はっぴょん」の方は、そこまで考えていない様子が商標登録の状況から伺えます。

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