お菓子の名前の商標登録

本稿では、お菓子の名前の商標登録に焦点を当てて、その必要性について検討致します。

まず、お菓子の名前を商標登録する場合、第30類という商品の区分を指定して商標登録することになります。
第30類という区分は、大きなくくりで言うと、「加工した植物性の食品(他の類に属するものを除く。)及び調味料」となります。
お菓子は、第30類の中でも「30a01」という、区分をさらに細かく分類した「類似群」に属します。
30a01という類似群には、お菓子の他、パン、サンドイッチ、中華まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ等が含まれます。そして、お菓子と、パン、サンドイッチ、中華まんじゅう、ハンバーガー、ピザ、ホットドッグ、ミートパイ等といった食品は、類似する商品として取り扱われます。
ちなみに、2017年5月22日調査時点で、30a01を指定した登録商標(出願中を含む)は、172,225件存在しています。つまり、お菓子関係の登録商標は、これだけ膨大な数のものが存在しており、”激戦区”といえます。

他の業界でも同様のことが言えますが、大手企業がかなり多くの登録商標を所有しているのが特徴です。
以下に一例を挙げてみます。

株式会社明治 1862件
明治製菓株式会社 623件
森永製菓株式会社 427件
森永乳業株式会社 970件
山崎製パン株式会社 1654件
江崎グリコ株式会社 3153件
株式会社ロッテ 884件
カルビー株式会社 726件
亀田製菓株式会社 603件

以上の通り、お菓子を取り扱っている大手企業は大量に登録商標を取得しています。
また、上述致しました菓子業界で172,225件の登録商標が存在していることを考えると、中小企業・個人事業主様におかれましても、商標登録のことを無視してビジネスを展開されていると、いつの間にか他社の商標権を侵害してしまうというリスクが高いと考えられます。

もう一つご注意頂きたい点は、大手企業が多くの登録商標を持っているという数のことではなくて、”質”についてです。
「良い商標」、「悪い商標」といった商標の良し悪しの判断基準は、色々あり一概には言えないのですが、一つの基準として、”どのような会社も使いたくなる商標”が「良い商標」ということができます。
この一例を挙げてみますと、亀田製菓株式会社が所有している「もちもち」という登録商標です。
一時期、もちもちとした食感の食品が流行り、それ以降も定番の食感としてもちもちしたものがあります。そのため、もちもちした食感の商品の名称やパッケージに「もちもち」と表示したいと考える企業は多いと思われますが、亀田製菓株式会社が「もちもち」を商標登録していることによって、そうした表示をすることに躊躇してしまうことがあり得ます。
当然、これは亀田製菓株式会社に限らず、多くの大手企業が行っていることです。
つまり、皆が使いたくなるような商標を我先に商標登録しておこうということです。
大手企業では、このような視点で、商標を一種の「ビジネス・ツール」と捉えて、商標を登録していく傾向があります。
その結果、登録商標の質の面から見ても、他人の商標登録のことを考えずに、商品の名称等を考えるのは非常にキケンといえますので、商品名を決定する前に、しっかりと商標調査を実施のうえ、自社で商標登録をしておくことが望まれます。

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