経済用語で「情報の非対称性」という言葉があります。
市場において、売り手が多くの情報を持っている情報優位者で、買い手が少ない情報しか持っていない情報劣位者という構造のことを指すようです。一般的な言葉では、情報の格差とでも言うのでしょうか。
これは、我々弁理士等の士業と、クライアント様との間においても生じます。
例えば、弁理士で商標に関して言いますと、商標登録出願等の手続に関する情報、商標登録にかかる費用についての情報、商標登録制度の仕組みに関する情報等、弁理士は熟知していますが、一般的にクライアント様、特に中小企業・個人事業主の方は、あまり馴染みの無い事柄と考えられます。
このように、情報の非対称性の状況では、情報優位者(弁理士)の方にモラルハザードが起こる危険性があります。
つまり、情報量・知識量が多いことを利用してクライアント様に不利益を生じさせるような行動をとることです。
虚偽の情報を提供する等、違法性の高い行為までは至らなくても、必要な情報をあえて提供しないという不作為もモラルハザードの1つと考えます。
特に、近年、弁理士人口の増加や価格競争に伴い、残念ながら、価格面や広告における表示方法等でグレーな弁理士も散見されるような状況があります。
一例を申しますと、「商標登録料5年分」です。
通常、商標登録は10年単位で行うのですが、ライフサイクルの短い商品等のために5年毎に行う制度も設けられているものです。
しかし、これは、通常の場合よりも商標登録料が割高になることに加え、弁理士報酬も割高になるというデメリットがあります。
こうした情報を開示せずに手続の依頼を受けることはモラルハザードの1つと考えます。
この点に関しては、弊所では機会があるごとに注意喚起をさせて頂いております。
弊所代表弁理士は、長らく大手企業の法務部門に在籍していたこともあり、コンプライアンス(遵法)に対する意識が高く、こうした情報の非対称性或いは情報格差を解消したいの想いから積極的に正直な情報発信を行なっており、今後もそのような活動を行っていく所存です。