商標出願を自分で行うことのデメリットの1つ

商標出願を弁理士を使わずに、ご自分でされる方もいらっしゃいます。
その場合のデメリットは、一般的には、商標登録出願の手続は専門性の高いものなので、よくわからず間違った手続をしてしまうということや、何度も特許庁等に問い合わせ等をしなくてはならず面倒といったことが挙げられます。
本稿では、これらとは別の視点から、弁理士を使わずに商標出願の手続を行うことのデメリットをご紹介します。

商標登録出願の手続は特許庁に対して行います。
特許庁は、東京の虎ノ門にあります。
司法書士さんや行政書士さんの役所に対して行う手続は、それぞれの地域の役所に出向いて行う必要があるものもあるようですが、基本的に弁理士の行う手続は虎ノ門の特許庁に対して行います。
ちなみに、弊所は千葉県に所在するため、「虎ノ門まで遠くないですか?」といったご質問を頂くことがあります。
しかし、特許庁に対する手続はほとんどがオンラインで、つまりパソコンで行うことができます。そのため、千葉から東京に手続をするために出向く必要はほとんどありません。

上述の通り、特許庁に対する手続の多くはオンラインで行なうことができます。
しかしながら、弁理士を使わずにご自分で例えば、商標出願をする場合は、オンラインで手続をすることはややハードルが高いかもしれません。
特許庁に対する手続をオンラインで行なうためには、そのための環境整備が必要で、例えば、インターネットを利用して手続を行うためのソフトの導入、電子証明書の手配、特許庁へ手数料・登録料等を納付するため手配等を行わなければならず、結構大きな負担です。

そこで、弁理士を使わない場合は、書面で手続をされるのが通常と考えられます。
書面手続は、当該書面を特許庁の窓口に提出したり、郵送することで行います。

今回ご紹介する商標登録出願等の手続を弁理士を使わずに行う場合のデメリットは、この書面手続にあります。

特許庁は、特許、即ち最先端の発明を扱うお役所です。
そのような事情と無関係とは言えないと思うのですが、比較的早い時期からIT化に取り組んでいる役所です。
前述のように、特許庁に対する手続の多くがインターネットを利用して行うことができるのは、その表れと言えます。
特許庁は、IT化と合わせてペーパーレス化も推進しています。そして、ペーパーレス化を促進するため、また、商標や特許等の情報を電子化するための手間等も考慮して、書面手続に対して「電子化手数料」という費用を課しています。

電子化手数料は、インターネットで行うことができる手続を書面で行った場合、多くのケースで発生します。代表的な例は、商標登録出願、手続補正書、意見書等の手続です。商標に限らず、特許・実用新案・意匠に関する手続も同様です。

電子化手数料の金額は、手続1件につき、¥1,200+¥700×書類の枚数になります。
例えば、商標登録出願を1枚の願書で行った場合、電子化手数料は¥1,900となります。
また、5ページの意見書を提出する場合は、¥4,700です。
オンラインで手続を行った場合には発生しない費用と考えると、意外にばかにならない金額です。

極稀に「特許庁への手続を弁理士に頼んでいるけど、書面で手続を行っている」と聞くことがあります。
今時、弁理士が書面手続を行っているのは非常にレアケースですが、弁理士を変えた方がよいかもしれません。

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