「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」は、商標登録を受けることができない旨を定める商標法第4条第1項第7号ですが、この規定は非常に抽象的です。
そのため、本ブログでは、これまで特許庁の商標審査基準及び商標審査便覧に基づいて、少し踏み込んで、当該規定をご説明して参りました。
本稿では、「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標」の1つのパターンである、組織又は団体の名称についてご説明致します。
「〇〇審議会」、「○○公団」、「〇〇公社」
「〇〇審議会」、「○○公団」、「〇〇公社」からなる商標は、原則として、商標法第4条第1項第7号に該当するため商標登録を受けることができません。理由は、こうした商標を採用した場合には、国又は地方公共団体と関連する組織又は団体であると誤認を生ずるおそれがあるためです。そのため、商標登録出願人が、当該国又は地方公共団体と関連する組織・団体である場合は、商標登録を受けることができる可能性があります。
「〇〇協議会」、「〇〇調査会」、「〇〇協会」
「〇〇協議会」、「〇〇調査会」、「〇〇協会」からなる商標は、上述の「〇〇審議会」、「○○公団」、「〇〇公社」からなる商標ほどは厳しい取り扱いはされません。
「〇〇審議会」、「○○公団」、「〇〇公社」からなる商標の場合は、原則として商標登録を受けることができないとされていますが、「〇〇協議会」、「〇〇調査会」、「〇〇協会」からなる商標は、以下のいずれかに該当する場合は商標法第4条第1項第7号に該当するとして商標登録を受けることができません。
1.特別の法律により設立された法人の名称と誤認を生ずるおそれのある場合
2.国又は地方公共団体と関連する組織団体と誤認を生ずるおそれのある場合
3.国又は地方公共団体が定めた許認可等の業務を行っている団体と誤認を生ずるおそれのある場合
「一般社団法人○○協会」、「公益社団法人○○協会」
特に、「一般社団法人○○協会」といった組織名称は、最近非常によく目にすることがありますが、こうした商標については、以下のような注意が必要です。
商標登録出願人が自然人であったり、商標登録出願人が当該商標が表す法人以外の法人である場合は、原則として商標法第4条第1項第7号に該当するとして商標登録を受けることができないとされています。
「会社」等文字を含み商号を認識させる商標
このように、「会社」等といった言葉を含む商標も、商標登録出願人が自然人であったり、商標登録出願人が当該商標が表す法人以外の法人である場合は、原則として商標法第4条第1項第7号に該当するとして商標登録を受けることができないとされています。