A.地域団体商標とは、「地域の名称+商品・サービスの普通名称等」からなる商標のことです。
上述のように、地域の名称と、商品・サービスの普通名称とを組み合わせた商標は、識別力を欠く(すなわち、自社商品・サービスと他社商品・サービスとを区別することができない)という理由で従来は、基本的には商標登録をすることができませんでした。
そのような商標であっても、例外的に全国的に著名となれば、商標登録を受けることができるという制度(商標法第3条第2項)は従来からありました。
しかしながら、商標法3条2項の適用を受けて商標登録されるためには、全国的に著名となっていなければならず、非常にハードルの高いものでした。著名となるためには、莫大な広告費を使って大規模な広告をすれば別ですが、通常は、地道に長い時間をかける必要が生じます。その地道な長い時間の間に、地域ブランドが劣悪な商品等に安易に使用されてしまいブランド力が低下してしまうといった弊害がありました。
そこで、地域ブランドを適切に保護していくことを目的として、平成17年の法律改正によって、地域団体商標制度ができ、平成18年より同制度が導入されました。
とはいえ、「地域名称+商品・サービスの普通名称等」は、基本的に識別力を欠くし、やたらめったら私事業者に独占させるのも適切ではありません。
そのため、地域団体商標として商標登録を受けるためには、
1.周知性の要件として、全国的に有名ではなくとも一定の範囲での周知性が必要とされ、
2.主体要件として、地域団体商標として商標登録を受け得る主体も所定の組合、商工会、商工会議所及びNPO法人に限られる、
等の通常の商標の商標登録の要件にはない要件が付加されています。
ちなみに、地域団体商標にいう「地域」には、現在の行政区画単位の地名のほか、旧地名、旧国名、河川名、山岳名、海域名等も含まれます。
平成29年3月31日時点で、605件の地域団体商標が商標登録されています。
同じく平成29年3月31日時点で、地域団体商標についての商標登録出願件数が最も多い都道府県は、京都府で150件となっており、その後に、兵庫県64件、北海道52件、沖縄県43県、岐阜県43県と続きます。