例えば、会社のロゴの場合、ロゴマーク等の図形要素と会社名の略称である文字の要素から構成されることがあります。そして、ロゴは、ロゴマークが左側に、文字が右側にあるパターン、ロゴマークが上段に、文字が下段にあるパターン等があったりすることがあります。
以上のようなケースで、どの商標を商標登録すべきでしょうか?
・ロゴマークのみ
・文字のみ
・ロゴマークが左、文字が右
・ロゴマークが上、文字が下
これら4つパターンが考えられます。
もちろん、これら4つパターン全て商標登録をしておくことが望ましいです。
しかし、現実的には商標登録をするためには相応のコストがかかりますので、4つ全て商標登録できないケースも多々あります。特に、指定商品・指定役務を広範な範囲でカバーしなければならないようなケースでは印紙代もばかになりません。したがって、商標出願する商標を絞らなくてはならないこともあります。
では、これら4つ商標のうち、どれか1つに絞って商標登録をするとなると、どの商標を選択するべきでしょうか?
事案にもよりけりですので、絶対的な正解はありませんが、まず、ロゴマークのみの商標と文字のみの商標は商標登録をする候補から外れます。
ロゴマークのみの商標では、文字の部分を商標登録で保護することができず、文字のみの商標では、ロゴマークの部分を商標登録で保護することができません。
ロゴマークの部分と文字の部分の両方を商標登録による保護で守るには、これら2つの要素を含んだ商標を商標登録しておくべきでしょう。
次に、左右にロゴマークと文字が並んだ商標と、上下にロゴマークと文字が並んだ商標のいずれかを選択することになります。
ここで、商標登録をする商標を決定する際に念頭に置いておきたい考え方は、
”実際に使用する(或いは、使用している)商標を商標登録すべき”
という考え方になります。
(この考え方を推奨する理由は、次回以降の記事でご紹介致します。)
ですので、左右に並んだ商標と上下に並んだ商標のうち、いずれか一方を使用していない(或い、使用する予定がない)のであれば、実際に使用する他方の商標を商標登録出願して商標登録するべきです。
これら2つ商標を両方とも使用するのであれば、主として使用する方、使用頻度の高い方、といった基準で商標登録する商標を決定するのが良いと考えられます。