キャラクターの商標登録の必要性

「ゆるキャラグランプリ2016」で第1位に輝いた、高知県須崎市のマスコットキャラクター「しんじょう君」ですが、このキャラクター名の「しんじょう君」を含む商標が民間企業によって商標登録出願されてしまったという報道がなされています。

報道によれば、当該民間企業による商標登録出願は、特許庁の審査に通らず、商標登録を受けることができなかったそうです。
また、この民間企業による商標登録出願を知り、須崎市の方では急いで「しんじょう君」について商標登録出願を行ったそうです。

須崎市では、2002年からキャラクター「しんじょう君」を使用してきているそうですが、費用対効果の観点から、このキャラクターの商標登録は行っていなかったとのことです。

キャラクターの商標については、キャラクターの図柄の商標登録ももちろん重要ですが、キャラクターの名称の商標登録については特に注意が必要です。
キャラクター名の商標登録の重要性については、色々な場面でお伝えしておりますが、ここでも改めてお伝え致します。

今回の報道のように、いわゆる”本家”が商標登録をしていない段階で、第三者によって商標登録出願されてしまう、”先取り出願”は、概ね以下のようなケースが想定されます。
・偶然の一致で、同じような商標を第三者に商標登録出願されてしまうケース
・後々高値で売り付ける等、悪意の目的で第三者が商標登録出願をするケース
・今回の報道の民間企業のように、同業者による類似品名の商品の出現を抑える目的で第三者に商標登録出願されるケース

上述のケースを考えてみると、キャラクターの図柄が偶然の一致で第三者に同じようなキャラクター図柄を商標登録出願されてしまう可能性は比較的に低いと考えられます。
また、類似品名の防止という観点から、第三者に同じようなキャラクター図柄を商標登録出願されてしまうことも考えられません。
つまり、キャラクターの図柄は、悪意の目的、いわゆる”パクリ”で第三者によって商標登録出願されてしまうことはあり得ても、その他の理由で第三者に同じような商標を商標登録出願されてしまう危険性は少ないと考えられます(もっとも、そのようなリスクが無い訳ではないので、キャラクターの図柄も商標登録をしておいた方がよいのは当然です。)。

これに対し、キャラクターの名称は、上述の3つのケースのいずれにも該当すると考えられます。
特に、キャラクターの名称は、親しみやすく、覚えてもらいやすい名称が通常採用されますので、3~5文字程度の短い名称の場合が多く、キャラクターの名称は偶然の一致で、同じような名称がカブリやすいといえます。

ですので、キャラクターの名称については、特に、名称を決定してしまう前に、既に同じような名称が商標登録されていないかを調査・確認して、なるべく早い段階で商標登録出願を行うことが推奨されます。

さらに、自治体のキャラクターということになりますと、地元企業等に対して、キャラクターの使用許諾をしている事例が多いです。このような場合に、キャラクターの名称等と同じような商標を第三者に商標登録されてしまうと、使用許諾をしている企業等にも大変な迷惑をかけることとなってしまいますので、より慎重な対応が求められると考えられます。

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