A.幾つか対処する方法はありますが、相手(その商標を商標登録している他人)があることですので、どの方法がベストかはケース・バイ・ケースといえます。
・その他人から商標権の譲渡を受ける
・その他人から商標権の使用許諾(ライセンス)を受ける
・その他人の商標登録に対して不使用取消審判を請求する
・アナタの商標を変更する
概ね上記のような対応をとることができます。
場合によっては、不使用取消審判以外の取消審判や商標登録の無効審判を請求する手もあり得ますが、主として上記の対応が一般的と考えられます。
それぞれのメリット・デメリット等をご説明します。
・商標権の譲渡
相手方から商標権の譲渡、つまり、登録商標を譲り受けることです。
もし譲り受けることが可能であれば、非常に有効な手段です。
その登録商標がアナタのものになりますので、その登録商標を自由に使用することができます。
既に商標登録されている商標なので、特許庁の審査に通るか否かといった心配も無用です。
しかし、デメリットとしては、商標権の譲渡を受けるとなると、その商標権の譲渡の対価は一般的に高額となります。相場の金額というのも無いに等しいので、相手方の言い値となってしまうかもしれません。
そもそも、相手方に譲渡の意思がなければ、この手段は不可能です。
・商標権の使用許諾
相手方の許諾を得て、その商標を使用させてもらうことです。
通常は、商標権の使用許諾契約書を取り交わします。
メリットは、一般に商標権の譲渡を受けるよりも、商標権の使用許諾の対価(ロイヤリティ)は安価となります。
また、相手方としても商標権を譲渡するよりも使用許諾をすることを認めてくれるケースが多いと考えられます。
デメリットは、やはり立場的には、商標権を所有している相手方の方が優位ですので、商標権の使用許諾契約の条件交渉は相手方主導になると考えられます。
また商標権の使用許諾契約を交わすことができたとしても、当該契約条件に縛られます。例えば、契約期間について「自動更新」条項が盛り込まれていたとしても、いつ契約が終了するかわからないという不安定な状態になるケースが考えられます。
・不使用取消審判
相手方が、その登録商標を日本で3年以上使用していない場合、不使用取消審判を請求することで、当該商標登録を取り消すことが可能です。
メリットは、もし不使用取消審判が成功すれば、当該他人の商標登録が取り消されますので、障害となる登録商標が存在しなくなり、アナタの商標が登録できる可能性がぐっと高まることです。
デメリットとしては、相手方が当該登録商標を3年以上使用していないことは、こちらからはわかりにくいことです。相手方が、今その登録商標を使用していないことは比較的調べやすいかもしれませんが、例えば2年前に使用していたかどうかは中々わかりません。
また、不使用取消審判を請求すると、相手方と”対立”してしまうおそれもあります。
・商標の変更
商標の調査を行って、安全な商標に変更することです。
ご希望の商標を変更することは難しい場合もあるかもしれません。
しかし、その商標が既に他人に商標登録されているということは、アナタがその商標を商標登録できないだけならまだしも、アナタがその商標を使用してしまうと、相手方の商標権を侵害してしまうかもしれません。
この点は十分ご留意頂いた方が良いです。
上述した3つの方法は、いずれも不確実な方法といえますので、現実には商標の変更が最も安全で確実な対応方法かもしれません。