Q.「類似群コード」とは何ですか?

A.特許庁の商標審査において、商品・役務が類似するものと推定されるグループごとに付与された数字とアルファベットからなるコードを「類似群コード」と呼んでいます。例えば、「30A01」、「41A01」など。

上記の回答は少し分かりにくい表現になってしまいましたので、以下、わかりやすくご説明致します。

商標の分野においては、”類似”という概念が多く出てきます。
例えば、自分の商標と類似の他人の登録商標が既に特許庁に商標登録されている場合、自分の商標を商標登録出願しても特許庁の審査に通ることはできず、商標登録をすることができません。他人の既に登録されている商標と同一又は類似の商標は商標登録を受けることができないという商標登録の要件があるためです
また、他人の登録商標と類似の商標を使用すると、その他人の登録商標に係る商標権を侵害することになってしまいます。

以上のように、商標において”類似”は、商標登録できるかどうか、商標権を侵害するかどうか、という非常に重要な局面で問題になる重要な概念です。

しかし、ここで注意が必要なのは、単に”類似商標”と言われることが多いのですが、実は、商標登録できるか否か、商標権を侵害するか否かという場面で問題になるのは、商標そのものの”類似”に加えて、商品・サービスの”類似”も問題になるのです。
例えば、他人の登録商標と、商標自体は同一か類似であっても、その他人の登録商標の指定商品・指定役務と非類似の商品・役務を指定すれば商標登録できる可能性は出てきますし、その他人の登録商標の指定商品・指定役務と非類似の商品・サービスに同一又は類似の商標を使用しても基本的にはその商標権を侵害することはないのです。

したがいまして、商標においては、商標そのものの類似性の他、商品・役務(サービス)の類似性も重要な要素となります。

商標において商品・役務に関しては、「区分」というものが存在します。区分は馴染みのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
商標登録出願をする際の願書には、商標登録を受けようとする商標と、その商標をどのような商品・役務に使用するのか(指定商品・指定役務)と、指定商品・指定役務の属する区分などを記載します。
区分は、「第1類」から「第45類」まで、45の区分があります。
指定商品・指定役務は、1つでも構いませんが、複数の商品・役務を指定することもでき、願書に記載する区分も1つ又は複数の場合があります。
区分の数によって商標登録の費用が変わってくるのが一般的です(区分の数が増えるにつれ印紙代・弁理士費用が増加する)。
区分に関わる費用面は、ここでは割愛しますが、区分に関しては誤解をされていらっしゃる方が多いです。
すなわち、商品・役務の類似の判断は、区分に基づいて行われるという誤解です。同じ区分に属する商品・役務同士が類似商品・役務で、異なる区分に属する商品・役務が非類似商品・役務との誤解です。
もちろん、相互に類似する商品・役務が同じ区分にぞくしていることは多々あります。しかし、同じ区分に属する商品・役務同士でも非類似のものはたくさんありますし、異なる区分に属する商品・役務同士が類似する場合もあるので要注意です。

そこで、商品・役務の類似の判断で重要になるのが、冒頭申し上げた類似群コードです。
類似群コードは、区分に含まれる商品・役務をさらに細分して類似する商品・役務同士をグルーピングし、そのグループに付与されたコードです。

例えば、「第30類」という区分には、以下の商品が含まれています。
「アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,食品香料(精油のものを除く。),茶,コーヒー,ココア,氷,菓子,パン,サンドイッチ,中華まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,ホットドッグ,ミートパイ,調味料,香辛料,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,コーヒー豆,穀物の加工品,ぎょうざ,しゅうまい,すし,たこ焼き,弁当,ラビオリ,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,即席菓子のもと,パスタソース,食用酒かす,米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用グルテン,食用粉類」

第30類の類似群コードは、以下のようになっています。
(商品名の右側の「数字2ケタ・アルファベット1文字・数字2ケタ」が類似群コードです。)
「アイスクリーム用凝固剤 家庭用食肉軟化剤 ホイップクリーム用安定剤 01A01」
「食品香料(精油のものを除く。) 04D01」
「茶 29A01」
「コーヒー ココア 29B01」
「氷 29D01」
「菓子 パン サンドイッチ 中華まんじゅう ハンバーガー ピザ ホットドッグ ミートパイ 30A01」
「調味料 (31A01~31A05)」
「みそ 31A01」
「ウースターソース グレービーソース ケチャップソース しょうゆ 食酢 酢の素 そばつゆ ドレッシング ホワイトソース マヨネーズソース 焼肉のたれ 31A02」
「角砂糖 果糖 氷砂糖 砂糖 麦芽糖 はちみつ ぶどう糖 粉末あめ 水あめ 31A03」
「ごま塩 食塩 すりごま セロリーソルト 31A04」
「うま味調味料 31A05」
「香辛料 31B01」
「アイスクリームのもと シャーベットのもと 31D01」
「コーヒー豆 32D04」
「穀物の加工品 32F03」
「ぎょうざ しゅうまい すし たこ焼き 弁当 ラビオリ 32F06」
「イーストパウダー こうじ 酵母 ベーキングパウダー 32F08」
「即席菓子のもと 32F09」
「パスタソース 32F10」
「食用酒かす 32F14」
「米 脱穀済みのえん麦 脱穀済みの大麦 33A01」
「食用グルテン 33A02」
「食用粉類 33A03」

例えば、「菓子」と「パン」は同じ「30A01」という類似群コードが付与されているので、両者は類似商品となります。
一方、「コーヒー」は「29B01」という類似群コードですので、「菓子」や「パン」とは非類似商品となります。
注意すべき点は、例えば、第30類の「食品香料(精油のものを除く。)」の類似群コードは「 04D01」になりますが、類似群コードは「 04D01」は、第3類という区分にも存在していますので、第30類の「食品香料(精油のものを除く。)」と第3類の「香料」は、区分は異なりますが類似商品という扱いになります。
もう1つご注意頂きたいのは、ここでいう”類似する”というのは、厳密には”類似するものと推定する”です。”推定”なので、覆される場合もあるということです。もっとも、少なくとも特許庁における審査では、ほぼ類似群コードに沿って審査が行われていますので、この推定が覆されることはほとんどありません。

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