A.弁理士の選び方は、中々難しいものがあります。
一般に、弁理士を含め、弁護士、司法書士、行政書士、税理士、社会保険労務士などの所謂”士業”を選ぶのは難しいと言われております。
一つには、士業の取り扱うサービスは、形の無いサービスであり、しかも専門的でわかりにくいことが挙げられます。
また、報酬もそれぞれ異なる料金設定をしているし、報酬も何回かに分けて支払うケースも多く、結局、総額で幾らなのか分かりづらく、報酬金額で比較もしにくいという問題もあります。
信頼できる知り合いに、こうした士業がいれば、その人に依頼をするのが安心なのですが、弁理士は現状、日本で約1万人しかいませんので、他の士業と比べて知り合いに弁理士がいる可能性も低いものです。
このような現状において、アナタに最適な弁理士の選択方法をご案内できれば幸いです。
1.弁理士の専門分野を確認する
弁理士は「知的財産の専門家」と言われており、特許・実用新案・意匠・商標に関する業務を主な業務としています。
ここで、特許・実用新案は、「発明」や「考案」を対象としており、科学的な技術の分野が関係してきます。ですので、特許・実用新案を主たる業務としている弁理士は、化学、機械、電気といった技術的知識に強い弁理士といえます。
そのため、特許・実用新案の仕事を弁理士に依頼したい場合には、特許・実用新案を主たる業務としている弁理士で、アナタが依頼しようとしている技術分野に強い弁理士を探すのが良策と言えます。
意匠は「デザイン」のことを意味します。
日本の意匠登録制度は、まだまだ利用件数が少ないこともあり、意匠専門の弁理士は極めてまれな存在です。
意匠登録の依頼をしたい場合には、こうした意匠専門の弁理士に依頼するか、後述する商標に強い弁理士に依頼するのが良いかもしれません。
商標登録を依頼したい場合は、やはり商標に特化した弁理士が良いでしょう。
特許・実用新案を主たる業務としている弁理士も商標関連業務を行うことがありますが、商標登録の可能性の見極めや商標登録の確率を上げるためには、一般的には商標に特化した弁理士に依頼した方が良いと考えられます。
商標を主たる業務とする弁理士は、併せて意匠にも力を入れているケースがありますので、意匠専門弁理士を見つけられない場合には商標弁理士に依頼するのも手かもしれません。
2.弁理士費用を確認する
例えば、商標登録の費用で考えますと、商標登録出願時の費用、特許庁の審査で「拒絶理由通知書」が発せられた場合の応答費用、商標登録された時の費用、商標権を更新する時の費用など、弁理士費用は何段階にも分けて発生します。
この点を知っておくことは非常に重要です。
なぜなら、上述した「商標登録出願時の費用」、つまり一番最初にかかる費用が安くても、後から発生する費用が高いケースもあるためです。
したがって、何回にも分かれて発生する弁理士費用を事前に全て確認しておいた方が良いことになります。
3.弁理士・特許事務所の規模
弁理士事務所・特許事務所の規模も様々です。数百名の従業員を抱える事務所から1人の事務所まであります。
大規模の事務所の場合、それぞれ各専門ごとに専門の弁理士を抱えている場合が多いので、この点ではメリットがあります。
しかし、融通がききにくい、費用が高い、敷居が高い等のデメリットがあるかもしれません。また、大規模事務所は大企業を大手クライアントとして抱えているケースが多いので、大手クライアントを優先する、といったこともあるかもしれません。