A.2つの商標が似ているかどうかの判断(類否判断ともいいます)は、2つの商標の外観(見た目)、称呼(呼び方)、観念(意味合い)及び取引の実情等を総合考慮して判断されます。
商標の類否判断は、商標登録をする際の特許庁における判断と、商標権を侵害するかどうかという裁判所における判断があります。このように、商標の類否判断は、非常に重要な局面で行われるため、類否判断の手法を知っておくことは非常に重要です。
いずれの場合も、基本的には上述しましたように、類似する否か議論になっている商標の外観、称呼、観念及び取引の実情等を総合的に考慮して類否判断がなされます。
ただし、特許庁における商標の類否判断と、裁判所における商標の類否判断とは、その内容は随分と異なると言われています。
まず、特許庁の商標の類否判断は、どちらかと言えば、商標の外観、称呼及び観念が似ているかどうかという点を重視して、比較的形式的に判断がなされます。
これは、特許庁に対する商標登録出願は年間10万件以上を超える膨大の量でありますので、それぞれの商標に対して取引の実情等まで細かく調査検討することは困難であることから、上述のように比較的に形式的な判断がなされることが多いです。
これに対し、裁判所における商標の類否判断は、取引の実情等を勘案して、商標が類似しているから実際の取引現場において商品・役務の出所の混同が生じているか等、具体的な取引状況等に踏み込んだ判断がなされる傾向にあります。
最後に補足しますと、よく単に”商標の類否判断”と言われますが、商標登録できるか否かとか商標権を侵害するか否かという時には、商標自体が類似するか否かだけではなく、商品・役務も類似するか否かということが検討されます。
つまり、基本的には商標自体が類似であっても、商品・役務が非類似であれば、商標登録を受けることができたり、商標権を侵害しない、ということになります。