「実例に見るキャラクターの商標登録」の第二弾は、彦根市のマスコットキャラクター「ひこにゃん」です。
「ひこにゃん」は、その後の「ゆるキャラ」ブームの”はしり”とも言われているキャラクターです。
また、残念ながら、彦根市と「ひこにゃん」の創作者との間で著作権の問題で法廷で争われた等、話題の多いキャラクターでもあります。
「実例に見るキャラクターの商標登録」の第一弾では、熊本県のキャラクター「くまモン」を取り上げました。
「くまモン」の場合は、県のキャラクターということもあり、広範な商品・サービスの範囲で商標登録がされていて、相当のコストもかけている様子が伺われました。
今回のキャラクター「ひこにゃん」は、商標登録に関し、そこまでのコストはかけていないと考えられ、中小企業・・個人事業主様のキャラクターの商標登録にも参考になるのではないかと考えられます。
以下、具体的に、彦根市のキャラクター「ひこにゃん」の商標登録について見ていきます。
まず、彦根市の商標登録の状況ですが、全部で6件の登録商標を所有しています。
そのうちの5件が「ひこにゃん」の登録商標です。
彦根市も熊本県の「くまもん」同様、「ひこにゃん」のキャラクター図柄と名称を別々に商標登録しています。
(繰り返し申していますが、コストを抑えるために1件の商標登録とするため、キャラクターの図柄と名称をまとめて1件の商標登録とする方法もあります。)
キャラクターの図柄としては、おそらく代表的なポーズと思われる姿勢で商標登録されています。
最初は、2007年3月の同日に、「ひこにゃん」の図柄と名称の2件の商標登録出願が行われています。
いずれも指定商品は、第9、14、16、25、28類に含まれる商品です。
これらの商品群は、キャラクタービジネスに利用されるキャラクターの商標登録で定番の商品群ともいえます。
第9類はケータイストラップ等、第14類はキーホルダー等、第16類は文房具等、第25類は衣類、第28類はおもちゃ・スポーツ用品です。
次に、2010年6月に、やはり同日に追加の商標登録出願がなされています。
「ひこにゃん」の図柄と名称を別々に2件です。
指定商品は、いずれも第29、30、31、32類です。
これらの商品群は、主に食品関係です。
食品のキャラクター商品も多いことから、追加の商標登録がなされたのでしょう。
最後は、2010年12月に「ひこにゃん」の着ぐるみの状態の写真を商標登録出願しています。
この商標登録は、「ひこにゃん」の創作者との紛争があったための商標登録なのでしょうか?なぜ商標登録をしたのか不明です。
指定商品は、これまでの商標登録で指定した商品群を全て指定しています。すなわち、第9、14、16、25、28、29、30、31、32類です。
キャラクター「ひこにゃん」の商標登録の事例は、キャラクタービジネスに利用するキャラクターの商標登録の事例として参考になります。
もっとも、「ひこにゃん」の商標登録は、サービスの分野では全く商標登録がない点やや心配なところもあります。
サービスの分野でもキャラクター「ひこにゃん」が使用されるのであれば、その範囲での商標登録も必要になります。
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