商標法第十六条の二は、願書に記載した商標及び指定商品・指定役務についてした補正が要旨を変更するものであった場合の取り扱いに関する規定です。
商標法第九条の四も商標及び指定商品・指定役務についての補正が要旨変更であった場合の規定でした。どのような補正が要旨変更に該当するかは、商標法第九条の四の解説をご参照ください。商標法第九条の四は、補正が要旨変更であったことが商標登録後に判明した場合の商標登録出願日の取り扱いに関する規定でした。
第一項
商標法第十六条の二は、商標登録される前に、商標及び指定商品・指定役務についての補正が要旨変更であると判明した場合の規定で、同第一項では、この場合、審査官は決定をもってその補正を却下しなければならないと定めています。
具体的な条文は以下の通りです。
「願書に記載した指定商品若しくは指定役務又は商標登録を受けようとする商標についてした補正がこれらの要旨を変更するものであるときは、審査官は、決定をもつてその補正を却下しなければならない。 」
第二項
第二項は、第一項の補正却下の決定については、文書で、理由を付さなければならないことを定めています。理由が書かれていなければ、なぜ補正が要旨変更で却下されたのかわかりませので当然の規定とも言えます。
具体的な条文は以下の通りです。
「前項の規定による却下の決定は、文書をもつて行い、かつ、理由を付さなければならない。 」
第三項
補正の却下決定があった場合には、一定の期間、当該商標登録出願について査定をしてはならないことを、第三項では規定しています。一定の期間とは、具体的には、補正却下決定の謄本の送達のあった日から3月です。
これは、商標法第四十五条に規定された「補正却下決定に対する審判」(補正却下に対する不服を申し立てる手段です。)の請求期間が補正却下決定の謄本の送達のあった日から3月以内となっているため、補正却下決定に対する審判請求がなかったことが確定するまで、査定をしてはならないことを意味します。
具体的な条文は以下の通りです。
「第一項の規定による却下の決定があつたときは、決定の謄本の送達があつた日から三月を経過するまでは、当該商標登録出願について査定をしてはならない。 」
第四項
第四項は、補正却下決定に対する審判の請求があったときは、その審判についての審決が確定するまで、審査官は、当該商標登録出願の審査を中止しなければならないことを規定しています。
具体的な条文は以下の通りです。
「審査官は、商標登録出願人が第一項の規定による却下の決定に対し第四十五条第一項の審判を請求したときは、その審判の審決が確定するまでその商標登録出願の審査を中止しなければならない。 」