初めてお会いする異業種の方とご挨拶すると、次のような質問などをされることが非常に多いです。
「弁理士さんてどんな仕事されるんですか?」
「初めて弁理士さんに会いました。」
「弁護士さんなんですね。」
「便利屋さんですか?」
弁理士という職業は、マイナーで、世間ではあまり知られていないという自覚はありましたが、想定していたよりも随分と知られていないようです。
そこで、本稿では、弁理士のことを紹介させて頂きます。
弁理士とは?
弁理士は、一言で言うと「知的財産の専門家」です。
弁理士のことを定めている「弁理士法」という法律があります。
弁理士法の第1条には、弁理士の使命が書かれていまして、実際の条文は、以下のようになっています。
(弁理士の使命)
第一条 弁理士は、知的財産に関する専門家として、知的財産権の適正な保護及び利用の促進その他の知的財産に係る制度の適正な運用に寄与し、もって経済及び産業の発展に資することを使命とする。
色々と書かれていますが、冒頭に「弁理士は、知的財産に関する専門家として~」と書かれているように、知的財産の専門家なのです。
ちなみに、弁理士法は平成26年に改正され、その改正で、弁理士法第1条に「知的財産に関する専門家」という言葉が追加されたことを大御所の弁理士先生などは大変喜ばれておりました。
知的財産とは?
弁理士が知的財産の専門家なのはわかったけど、じゃあ「知的財産」って何なの?という疑問が生じることと思います。
知的財産は、相当平たく言うと、頭で考え出したアイデアのような無体物で価値があるものです。
もう少し具体的に言いますと、発明、デザイン、音楽などのようなものが該当します。
また法律の話になって恐縮ですが、「知的財産基本法」という知的財産のことを定めている法律がありまして、この法律では、知的財産には「発明、考案、植物品種、意匠(デザイン)、著作物、商標、商号、営業秘密」などが含まれることとされています。
知的財産権とは?
知的財産とは、無体物で価値があるものと述べましたように、価値があるものなので、盗用されたり、マネされたりしないように、何らかの方法で守って保護を与えるべきと考えられるものなのです。
知的財産は、無体物でもあるので、形のある物と違って、保護するためには工夫が必要です。
そこで、知的財産を権利として認めて、守り保護を与えようとして考えられたのが知的財産権という権利です。
知的財産権は、広い意味の言葉で、知的財産権の中には、例えば、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権などの権利が含まれます。
発明は特許権、考案は実用新案権、意匠は意匠権、商標は商標権、著作物は著作権で、それぞれ保護されることになります。
弁理士の仕事は?
弁理士は、知的財産の専門家で、知的財産には商号、植物品種、営業秘密なども含まれるということは前に述べました。
確かに、弁理士は、これらの知的財産の専門家ですが、実際には、弁理士の仕事は、発明、考案、意匠及び商標に関するものが大半を占めます。
つまり、発明であれば特許を取得する、考案は実用新案の登録をする、意匠は意匠登録をする、商標は商標登録をするための手続をクライアント様の代わりに代理・代行して行うというのが、弁理士の最も中心的な仕事になっています。
特許、実用新案、意匠及び商標の中でも、一般に、特許の仕事に関わる弁理士が最も多くなっています。
それは、1つには件数が特許が一番多いからです。
ざっくりと言いますと、1年間に特許庁に出願される件数は、特許が30万件、実用新案が1万件以下、意匠が3万件、商標が20万件です。
また、通常、1件処理するのに最も時間がかかるのも特許の仕事です。
ちなみに、弁理士のことを、「理系の弁護士」のように言われるかたもいます。
それは、特許が発明、つまり、科学的なアイデアを取り扱うため、理系のバックグラウンドを持っている弁理士が多いためです。
ちなみに、弊所では、特許、実用新案及び意匠も取り扱っておりますが、最も多いのが商標関係の仕事です。