新型コロナウイルス感染症は、経済に大きな悪影響を与えています。
一方で、このコロナ禍を商機と捉える事業者も存在しています。
そこで、本稿では、コロナを商機とする事業者と必ずしも一致するわけではありませんが、「コロナ」をキーワードとする商標登録の状況を探ってきました。
「コロナ」関連の商標登録の状況
2020年1月1日以降で、カタカナの「コロナ」かアルファベットの「CORONA」を含む商標が特許庁に出願された件数を調べたところ、2021年2月の調査時点で、142件の商標が検出されました。
この142件全てが新型コロナウイルス感染症と関連のある商標とは限りませんが、大半は関連があるものと推測されます。
142件という件数が多いのか少ないのか?
「コロナ」は、太陽の周りに見える淡い光を意味したり、ギリシャ語で王冠の意味があるなど、本来、どちらかといえば良い印象の言葉で、昔から企業の商標として使われることがありました。
ちなみに、2019年12月31日以前に商標出願された「コロナ」又は「CORONA」を含む商標は、現時点で調査可能な範囲で把握できるのが587件です。
もっとも古いものは、1934年に商標出願されています。
つまり、80年間以上で587件の「コロナ」等を含む商標出願があったことになります。
これに対し、2020年1月以降の約1年間で142件は、かなり多い出願件数といえるのではないでしょうか。
「コロナ」関連の商標はどのようなものか?
さて、2020年1月以降に商標出願された「コロナ」等を含む商標142件は、どのようなものでしょうか?
ざっと、142件のリストに目を通すと、以下のような、コロナ対策を連想させるようなネーミングの商標が目立ちます。
「コロナバスター/CORONA BUSTER」
「コロナウォッシュ」
「コロナバリア」
「コロナストップ」
「コロナ ブロック/CORONA BLOCK」
「コロナハンター」
「コロナキラー」
そして、こうした商標は、消毒剤や殺菌剤などの薬剤、マスクなどに使われる商標として、商標出願されるケースが多いように感じます。
上で例示した商標の中でも、特に、「コロナバスター/CORONA BUSTER」と同名の商標が複数重複して商標出願されていますので、こうしたコロナ対策のネーミングの中でも人気があるというか、最も採用されやすいネーミングであることがわかります。
こうした状況は、他社の商標権を侵害してしまう等、商標のトラブルが起こりやすい状況であるともいえますので、注意が必要です。