商標法第二十七条

商標法第二十七条は、登録商標と指定商品・指定役務の範囲について定めている規定です。

第一項

第一項は、登録商標の範囲について規定しています。
具体的な条文は以下の通りです。

「登録商標の範囲は、願書に記載した商標に基づいて定めなければならない。 」

第二項

第二項は、指定商品・指定役務について規定しています。
具体的な条文は以下の通りです。

「指定商品又は指定役務の範囲は、願書の記載に基づいて定めなければならない。 」

上述の通り、登録商標と指定商品・指定役務の範囲は、願書の記載に基づいて定めなければならないとされています。
たまに、あまり商標に詳しくない方は、特に指定商品・指定役務の範囲について誤解をされていることがあります。
他社の登録商標の指定商品・指定役務が、その他社の主要な事業とは異なる商品・役務である場合、その他社のビジネスと関係ないので、その商品・役務の範囲では商標権を尊重しなくても大丈夫と考えている方がいます。
具体的に例を挙げますと、例えば、食品メーカーが、ある商標について「宿泊施設の提供」という役務を指定していたとします。食品メーカーなので、「宿泊施設の提供」というサービスは本来あまり関係がなさそうです。
しかし、だからといって、それと同じ商標を「宿泊施設の提供」に使用しても問題はないでしょうか?
食品メーカーであっても、ビジネスの多角化で宿泊施設を運営していたり、その子会社が宿泊施設を経営していること等も考えられます。ですので、安易にイメージで他社の事業範囲を決めつけるのはキケンといえます。

第三項

第三項は、新しいタイプの商標制度に対応しています。
新しいタイプの商標を出願する際に特許庁に提出した「商標の詳細な説明」や「物件」を考慮して、商標の意義を解釈するものとされています。
具体的な条文は以下の通りです。

「第一項の場合においては、第五条第四項の記載及び物件を考慮して、願書に記載した商標の記載の意義を解釈するものとする。 」