「類似商品・役務審査基準」[11-2018版対応] 主な変更点

商標登録を検討するうえで、当然のことながら、どの商標を商標登録するか等、商標のことを考える必要がありますが、それに加えて、商標登録をしようとしている商標をどのような商品・役務(サービス)に使用するのか、といったことを検討する必要もあります。

商標登録をするにあたっては、まず、「商標登録出願」という手続をします。これは、「商標登録願」という願書を特許庁に提出する手続です。
商標登録願には、商標登録を受けたい商標を記載しますが、さらに、その商標を使用する商品・役務も記載します。この商品・役務を「指定商品・指定役務」と呼びます。
そして、出願した商標が商標登録されると「商標権」という権利、すなわち指定商品・指定役務について登録商標を独占的に使用する権利が発生します。

商標登録を受けるための要件は幾つもありますが、そのうちの代表的なものとして、”他人の登録商標と同じような商標は商標登録を受けることができない”とされています。
この商標登録の要件をもう少し詳しく言いますと、”他人の登録商標と同一又は類似の商標で、かつ指定商品・指定役務も同一又は類似の場合は商標登録を受けることができない”となります。
つまり、他人の登録商標と商標が同じようなもので、なおかつ、指定商品・指定役務も同じような場合は、商標登録を受けることができません。逆に言えば、商標が同じようであっても、指定商品・指定役務が非類似であれば商標登録を受けることができるということです。
ここで、指定商品・指定役務が同一の場合はわかりやすいのですが、類似かどうかは非常にわかりにくいものです。
そのため、特許庁では、「類似商品・役務審査基準」というものを公表して、どの商品・役務がどの商品・役務と類似関係にあるのかという基準を示しています。

以上の通り、商標の実務において、商品・役務の類似関係を知ることは重要で、「類似商品・役務審査基準」は商標実務において欠かせないツールとなっています。

そのような「類似商品・役務審査基準」は、これまでにも何度も改訂されてきていますが、今回、2018年1月1日以降の商標登録出願に適用される改訂が行われましたので、今回の主な変更点をお知らせ致します。

ちなみに、商品・役務は、「第1類」から「第45類」と呼ばれる45通りの「区分」に分類されています。
ただし、同じ区分に分類された商品・役務同士が必ずしも類似関係にある訳ではなく、区分よりもさらに細かい「類似群」という単位があり、基本的には同じ類似群に属する商品・役務同士が類似関係にあるという扱いになります。

「類似商品・役務審査基準」の主な変更点

・これまで第28類に分類されていた「ホイッスル」と「シュノーケル」が第9類に変更になります。

・これまで第7類に分類されていた「アイスクリーム製造機」が、「業務用アイスクリーム製造機」と「家庭用電気式アイスクリーム製造機」として第11類に分類されます。

・第6類の「金属製旗ざお」が、同じく第6類のままで「金属製手持ち式旗ざお」に名称が変更になります。

・これまで第19類に分類されていた「旗ざお(金属製のものを除く。)」が、「手持ち式旗ざお(金属製のものを除く。)」に名称が変更されるとともに第20類に分類されます。

・第9類の「腕時計型携帯情報端末」と第14類の「腕時計」が相互に類似関係にあるという扱いになります。

・第12類の「除雪車」が、同じく第12類のままで「鉄道用除雪車」に名称が変更になります。

・第21類の「バケツ」が、同じく第21類のままで「清掃用バケツ」に名称が変更になります。

・第30類の「氷砂糖」が、同じく第30類のままで「氷砂糖(調味料)」に名称が変更になります。

・第6類に新しく「金属製屋外用ブラインド」が追加されます。

・第19類に新しく「屋外用ブラインド(金属製又は織物製のものを除く。)」が追加されます。

・第22類に新しく「織物製屋外用ブラインド」が追加されます。

・第5類に新しく「医療用接着テープ」が追加されます。

・第16類の「接着テープ」が、同じく第16類のままで「事務用又は家庭用の接着テープ」に名称が変更になります。

・第17類に新しく「接着テープ(医療用・事務用又は家庭用のものを除く。)」が追加されます。

・第34類に新しく「電子たばこ」が追加されます。

・第35類に新しく「消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」が追加されます。

以上が2018年1月1日以降の商標出願に適用される主要な改訂点になります。

注目は第35類「消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」

今回の改訂で、個人的に一番注目すべきは、第35類に新しく追加された「消費者のための商品及び役務の選択における助言と情報の提供」というサービスです。
このサービスは、おそらく「ぐるなび」や「価格com」が提供しているようなサービスが該当すると思われます。


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