企業の知的財産担当者をしていたときも、弁理士になってからも、多くの商標に関わっていることから、ネーミングが得意だと思われることがあります。
確かに、商標の実務家として、弁理士として「いいネーミング」を知っていますのでご紹介します。
「弁理士的いいネーミング」
最初に断っておきますが、「弁理士的いいネーミング」は、必ずしも「売れるネーミング」ではありません。弁理士は、マーケティングや営業のセンス・知識等を持ち合わせているとは限りませんので。
また、ここでの「弁理士的いいネーミング」は、15年間に亘って60,000件以上の商標に関わってきた経験に基づいて、私が勝手に申し上げているもので、他の弁理士も同様のことを唱えている訳ではありません。
「弁理士的いいネーミング」は2つのパターンがあります。
商品・サービスの内容を暗示させるワードを2つ組み合わせたネーミング
例えば、法律事務所の名称として、「legal brain法律事務所」というネーミングです。
なぜ「暗示」させるのか?
商品・サービス・会社・組織のネーミングから、その商品内容や提供しているサービスの内容を伝えられた方がネーミングとして良いと考えられるからです。
ただし、「暗示」に止めるところがポイントです。
直接的に商品・サービスの内容を伝えるワードだと、ネーミング的に面白味がないからです。
例えば、弁理士事務所の名称として、「宮下特許商標事務所」ではあまり面白くありません。
なぜワード「2つ」なのか?
1つのワードでは、商品・サービスの内容を暗示させるのが難しいからです。
3つ以上のワードでは、長過ぎると感じる場合が多いからです。
人気・流行りのワードを使ったネーミング
当然のことながら、「samurai」とか「さくら」等の流行りや人気のワードを使ったネーミングは、聞く者に良い印象を与えるので、良いネーミングと言えます。
「弁理士的いいネーミング」の本当の意味
「弁理士的いいネーミング」を2つ、理由とともに上述しましたが、私が言う「弁理士的いいネーミング」の本当の意味は他にあります。
上で述べた2つのパターンのネーミングは、あえて私が言うまでもなく、誰しもがつけたくなりがちな名称です。
ですので、これらのパターンのネーミングで商標登録ができると、非常に強力な商標権を取得することとなります。
つまり、上述した2つのパターンのネーミングで商標登録できると、他の多くの同業者が使いたくなるような商標を独占的に使用することができる、という意味で「弁理士的にいいネーミング」と考えられます。
逆に言うと、これらの2つのパターンのネーミングは同業者の間で人気があるので、既にライバルが商標登録をしていないか十分に注意をしないと、非常に危険ともいえるネーミングとなります。