無印良品VSカインズ 収納棚事件

「無印良品」の良品計画が、ホームセンターのカインズを不正競争防止法上の権利を侵害されたとして訴訟を提起しているようです。

「無印良品」の収納棚に類似している収納棚をカインズが販売しているとして、良品計画がカインズに対して販売の差止等を請求しているとのことです。

上述の通り、良品計画は不正競争防止法を根拠として訴訟を提起しています。
今回のように類似品、いわゆる”パクリ”系の事件で不正競争防止法を根拠にしているということは、おそらく良品計画側には、この事案で使用できる特許権・実用新案権・意匠権・商標権といった知的財産権を持っていなかったものと思われます。

無印良品の収納棚は、日本における発売からゆうに3年以上経過しているので、不正競争防止法第2条第1項第3号は使えません。
となると、不正競争防止法第2条第1項第1号か同第2号を根拠とする必要がありますが、その場合、少なくとも収納棚の”形態”が、良品計画の商品等表示として機能していなくてはなりません。
つまり、”形態”に出所識別機能があるかということです。

この収納棚は、棚の四隅を支える柱が、各四隅にそれぞれ2本備わっていることが特徴のようですが、この特徴等は出所識別機能を発揮し得るのかということが1つの争点になりそうです。

私見としては、ややキビシイと考えております。

商品の形状を保護するのであれば、意匠登録をしておくことがまず考えられます。
意匠登録するためには、特許庁に登録をする作業が必要です。
これには特許庁に支払う手数料や登録料、場合によって弁理士費用がかかります。
また、意匠権の存続期間は意匠登録された日から20年間と有限です。

一般に、不正競争防止法第2条第1項第1号・同第2号でも商品形態を保護し得るとされていますが、不正競争防止法の場合、特許庁への登録手続等が不要となりますし、有効期間の定めもないため永久に形態が保護され得ることになります。
このように考えると、意匠登録での保護との比較においても、不正競争防止法での形状の保護はハードルが高いと考えられます。

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