商標法第六十八条の十は、国際登録が国内登録に代替する場合の規定です。
ここで代替とは、国際登録に係る国際商標登録出願の出願時をその国内登録に係る商標登録出願時とみなすことです。
代替が認められるのは、商標、指定商品・指定役務及び商標権者が同一である場合です。厳密には、指定商品・指定役務は同一でなくても重複している部分があればその重複部分のみ代替が認められます。
代替を認める趣旨は、必要に応じて国内登録に係る登録商標の商標権の存続期間の更新をしないで、国際登録に係る登録商標一本にして国際的な商標権の一元管理を容易にするためです。すなわち、代替を認めない場合は、国内登録に係る商標権を存続しておかないと第三者による抵触する商標権の取得の可能性があるためです。
第一項
第一項は、代替が認められる場合の条件を規定しています。
具体的な条文は以下の通りです。
「前条第一項の規定により商標登録出願とみなされた領域指定(以下この章において「国際商標登録出願」という。)に係る登録商標(以下この条において「国際登録に基づく登録商標」という。)がその商標登録前の登録商標(国際登録に基づく登録商標を除く。以下この条において「国内登録に基づく登録商標」という。)と同一であり、かつ、国際登録に基づく登録商標に係る指定商品又は指定役務が国内登録に基づく登録商標に係る指定商品又は指定役務と重複している場合であつて、国際登録に基づく登録商標に係る商標権者と国内登録に基づく登録商標に係る商標権者が同一であるときは、国際商標登録出願はその重複している範囲については、国内登録に基づく登録商標に係る商標登録出願の日にされていたものとみなす。 」
第二項
第二項は、国内登録に優先権が認められている場合は、代替した国際登録に基づく国際商標登録出願についても、その優先権の効果を認める、、即ち、当該優先日に出願したものとみなされます。
具体的な条文は以下の通りです。
「第六十八条の三十二第三項及び第四項の規定は、前項の国際商標登録出願に準用する。 」