商標法第四十七条

商標法第四十七条は、商標登録の無効審判の請求に対する除斥期間についての規定です。
商標登録が審査の過誤によってなされた場合でも、一定期間平穏に商標権が維持されたときは、その既存の法律関係を尊重・維持するべきと考えられるため、無効審判の請求を認めないこととしています。
ただし、全ての無効理由について除斥期間が設けられている訳ではありません。

第一項

第一項は、商標登録の無効審判請求に対する除斥期間の基本的事項を定めています。
除斥期間の適用対象になる無効理由を列挙するとともに、除斥期間を商標権の設定登録日から5年と定めています。
具体的な条文は以下の通りです。

「商標登録が第三条、第四条第一項第八号若しくは第十一号から第十四号まで若しくは第八条第一項、第二項若しくは第五項の規定に違反してされたとき、商標登録が第四条第一項第十号若しくは第十七号の規定に違反してされたとき(不正競争の目的で商標登録を受けた場合を除く。)、商標登録が同項第十五号の規定に違反してされたとき(不正の目的で商標登録を受けた場合を除く。)又は商標登録が第四十六条第一項第四号に該当するときは、その商標登録についての同項の審判は、商標権の設定の登録の日から五年を経過した後は、請求することができない。 」

第二項

第二項は、地域団体商標登録に対する無効審判請求についての除斥期間に関する規定です。
地域団体商標の登録要件の1つに周知性の要件がありますが、これを欠く地域団体商標が誤って商標登録された場合でも、後に周知性を獲得すれば、所定条件のもと除斥期間が適用になり、無効審判を請求することができなくなります。
具体的な条文は以下の通りです。

「商標登録が第七条の二第一項の規定に違反してされた場合(商標が使用をされた結果商標登録出願人又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものでなかつた場合に限る。)であつて、商標権の設定の登録の日から五年を経過し、かつ、その登録商標が商標権者又はその構成員の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その商標登録についての第四十六条第一項の審判は、請求することができない。 」