商標法第四十三条の六

商標法第四十三条の六は、登録異議申立ての審理の方式等について定めた規定です。

第一項

第一項は、登録異議申立ての審理は原則的には書面審理によることを規定しています。
ただし、申立て又は職権で、口頭審理によることもできると定められています。
登録異議申立ては、無効審判等のように当事者対立構造の手続ではなく、登録異議申立人と審判官合議体との間での手続のため、基本的には書面審理が採用されています。
具体的な条文は以下の通りです。

「登録異議の申立てについての審理は、書面審理による。ただし、審判長は、商標権者、登録異議申立人若しくは参加人の申立てにより、又は職権で、口頭審理によるものとすることができる。 」

第二項

第二項では、口頭審理による場合の特許法の規定を準用しています。
具体的な条文は以下の通りです。

「第五十六条第一項において準用する特許法第百四十五条第三項 から第五項 まで、第百四十六条及び第百四十七条の規定は、前項ただし書の規定による口頭審理に準用する。 」

第三項

第三項は、共有に係る商標権の商標権者の一人について中断又は中止の原因があるときは、他の共有者全員についても中断又は中止の効力が生ずることを規定しています。
他方、複数の者が共同して登録異議申立てを行った場合には、このような規定は存在しません。登録異議申立てが商標権者と審判官合議体との間で行われる手続であり、登録異議申立人は利害関係人に過ぎないためです。
具体的な条文は以下の通りです。

「共有に係る商標権の商標権者の一人について、登録異議の申立てについての審理及び決定の手続の中断又は中止の原因があるときは、その中断又は中止は、共有者全員についてその効力を生ずる。 」