第一項
商標法第十二条第一項は、防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができることを規定しています。
防護標章登録制度は、商標法第六十四条以降に規定されていますが、登録商標が著名の場合、その指定商品・指定役務と類似でない商品・役務に、他人が登録商標を使用すると混同のおそれがあるときには、混同のおそれがある商品・役務について防護標章登録を受けることができることとされています。簡単に言うと、有名な商標を保護するための制度です。
商標法第十二条第一項では、防護標章登録出願を商標登録出願に変更できる旨定めておりますが、その逆、つまり商標登録出願を防護標章登録出願に変更できることは規定していません。これは、商標法第六十五条で、商標登録出願から防護標章登録出願への変更を規定しているためです。
なお、本条は、当初、防護標章登録出願した標章を後に商標として使用しようとする場合などに利用されることが想定されます。
具体的な条文は以下の通りです。
「防護標章登録出願人は、その防護標章登録出願を商標登録出願に変更することができる。 」
第二項
商標法第十二条第二項は、防護標章登録出願から商標登録出願へ変更する場合の時期的要件を定めています。具体的には、防護標章登録出願から商標登録出願への変更は、防護標章登録出願について査定又は審決が確定した後はできなくなります。出願の変更と同様です。
具体的な条文は以下の通りです。
「前項の規定による出願の変更は、防護標章登録出願について査定又は審決が確定した後は、することができない。 」
第三項
商標法第十二条第三項は、防護標章登録出願から商標登録出願へ変更する場合に生じる不都合を調整するための準用規定です。具体的には、商標法第十条(商標登録出願の分割)及び商標法第十一条(出願の変更)の規定を準用して、変更後の商標登録出願の出願日、提出書類のみなし規定、元の防護標章登録出願の取り扱いについて規定しています。
具体的な条文は以下の通りです。
「第十条第二項及び第三項並びに前条第五項の規定は、第一項の規定による出願の変更の場合に準用する。 」