商標法第九条の二

商標法第九条の二は、パリ条約に関連する条文です。
パリ条約は、知的財産権に関する国際的な条約です。パリ条約では「優先権」という制度を定めており、これは、簡単に言うと、例えば、まずパリ条約のある同盟国Aでした商標登録出願があり、その後に同じくパリ条約の別の同盟国Bでした商標登録出願があるとすると、後の商標登録出願は、先の商標登録出願をした日にしたものとされます。つまり、後でした商標登録出願日が遡ることになります。商標登録は、多くの国で「先願主義」を採用していますので、優先権が認められると、一般的には商標登録出願人に有利となります。
パリ条約では、商品に使う商標に対しては、同盟国に優先権を義務付ていますが、サービスに使う商標(サービスマーク)には優先権を義務付ていません。しかしながら、商品商標とサービスマークで区別する必要性もないことから、我が国ではサービスマークについてもパリ条約の優先権を認めています。これを規定しているのが商標法第九条の二です。
条文は以下の通りです。

「パリ条約の同盟国でされた商標(第二条第一項第二号に規定する商標に相当するものに限る。)の登録の出願に基づく優先権は、同項第一号に規定する商標に相当する商標の登録の出願に基づく優先権についてパリ条約第四条に定める例により、これを主張することができる。」