商標法第二十九条は、他人の特許権等との関係について定めた規定です。
具体的には、商標権と、他人の特許権、実用新案権、意匠権、著作権、著作隣接権とが抵触する場合の調整規定といえます。
簡単に言うと、登録商標を使用するのは商標権に基づく商標権者の権利ですが、その商標の出願日よりも先の出願に係る他人の特許権・実用新案権・意匠権、その商標の出願日よりも先に発生した著作権・著作隣接権に抵触する場合には、登録商標が使用できなくなることを定めた規定です。
どのような場合に、商標権と他の知的財産権が抵触するのかといえば、例えば、立体商標を商標登録していたとして、その立体商標の使用が、他人の特許権・実用新案権・意匠権などに抵触する場合が典型的といえるかもしれません。
具体的な条文は以下の通りです。
「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者は、指定商品又は指定役務についての登録商標の使用がその使用の態様によりその商標登録出願の日前の出願に係る他人の特許権、実用新案権若しくは意匠権又はその商標登録出願の日前に生じた他人の著作権若しくは著作隣接権と抵触するときは、指定商品又は指定役務のうち抵触する部分についてその態様により登録商標の使用をすることができない。」