商標法第二十四条の四は、商標権の移転に係る混同防止表示請求に関する規定です。
当該規定は、2つ以上の商標権のうちの1つが他人に移転された場合や、1つの商標権が分割して移転された場合に、一方の商標権者等が業務上の利益を害されるおそれがあるときは、他方に混同を防止するための表示をするよう請求することができることを定めています。
ちなみに、「業務上の利益を害されるおそれ」は、業務上の利益が現実に害されたことまでは必要とされておらず、利益を害される具体的な危険があれば足りるものとされています。
具体的な条文は以下の通りです。
「商標権が移転された結果、同一の商品若しくは役務について使用をする類似の登録商標又は類似の商品若しくは役務について使用をする同一若しくは類似の登録商標に係る商標権が異なつた商標権者に属することとなつた場合において、その一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者の指定商品又は指定役務についての登録商標の使用により他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者の業務上の利益(当該他の登録商標の使用をしている指定商品又は指定役務に係るものに限る。)が害されるおそれのあるときは、当該他の登録商標に係る商標権者又は専用使用権者は、当該一の登録商標に係る商標権者、専用使用権者又は通常使用権者に対し、当該使用について、その者の業務に係る商品又は役務と自己の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。 」