地方創生のツールとして商標登録を利用する

地方創生のツールとして商標登録を利用する

先日、高知県いの町商工会の登録商標「仁淀ブルー」の活用事例が報道されていました。

街おこし、地域経済の活性化につながりそうな事例です。

仁淀川は、国土交通省の1級河川の水質ランキングで2014年まで3年連続トップになっているそうです。しかし、知名度は低い。

そこで、いの町商工会では「仁淀ブルー」という商標を商標登録して、商工会員に、この登録商標の積極的な利用を促して知名度を上げたいとこのことです。

仁淀川の知名度を上げるために、いろいろな場面で、「仁淀川の水質は・・・」と説明するよりも、一言「仁淀ブルー」という商標があった方がインパクトが大きいです。

ネーミングが光る

地域の特産品などの名称を保護するために「地域団体商標制度」が数年前に創設されました。最近の法律改正や審査基準の見直しで、地域団体商標も登録を受けやすくなりましたが、地域団体商標には以下のような弱点があります。

・地域団体商標は、「地域名称+商品・サービスの普通名称等」を保護するものであるため、特定の商品・サービスの名称しか保護を受けることができない。

・緩和されてはいるものの地域団体商標には「周知性」の要件があって、ある程度有名な名称でないと商標登録されないため、認知度の低い名称は商標登録されない。なので、これから認知度を上げていきたい名称には使えない。

登録商標「仁淀ブルー」は、仁淀川の略称「仁淀」と「ブルー」を組み合わせた商標なので、地域団体商標の要件は満たしていませんが、一般の商標登録を受ける要件は満たしそうです。

仁淀川をPRしたいので仁淀川の略称「仁淀」を商標に含ませるのは重要です。
また、「仁淀」に組み合わせた「ブルー」は「水」を連想させる言葉なので、仁淀川を表現するのに適しています。

この後の課題

上記の報道によれば、JAとさしが土佐市の特産品のメロンに、有限会社高知アイスがロールケーキに、それぞれ登録商標「仁淀ブルー」を使用するそうです。

ここで重要なのは、「商標の管理」です。

知名度を上げたいので、なるべく多くの事業者に登録商標を使ってもらいたいのですが、質の悪い商品やサービスに登録商標を使用されてしまっては逆効果です。
そのため、商標を使用許諾する側は、そういった商品・サービスを厳格にチェックしたうえで商標の使用を認めなければなりません。

また、そのように商品やサービスの質の管理・チェック等を行うために、商標の使用許諾契約書も適切な内容のものを用意する必要があります。

弁理士事務所LABRADORでは、商標の使用許諾契約書の作成も行っております。

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