『ビジネスモデル』は特許になるのか?

「商標に特化」してますが、特許の記事になります。

先週の金曜日(6月5日)に特許権侵害事件の最高裁判決がありました。

「プロダクト・バイ・プロセス・クレーム」という言葉がありまして、別の言い方をすると、「発明の内容を製造方法で特定した物の発明」ということなんですが。
この「製造方法で特定した物の発明」が特許されていて、「別の製造方法で製造したんだけど、その特許発明と同じ物」ができあがった場合、「別の製造方法で製造した物」は、その特許権を侵害するのか? 
ということが問題となりました。
判決は、「別の製造方法で製造した物」も特許権侵害の可能性あるよ的な内容でした...

本題はこれではなく。

以前にも書いたのですが、
「『ビジネスモデル』は特許になるのか?」 

ざっくりと結論を言うと、
「ビジネスモデルは特許になりません。」

そうすると、こんな質問が
「でも、『ビジネスモデル特許』ってありますよね?」

「はい。『ビジネスモデル』という言葉が悪いんです。」

特許されるには、発明が「自然法則を利用」していないとダメなんです。
なので、「人間が取り決めたビジネスの方法・ルール」みたいなものは特許にならない場合が多いです。
ただし、ビジネスモデルも自然法則を利用していれば特許される可能性はあります。これは、一般的にはコンピュータを使った発明になります。

「なぜ自然法則を利用していないとダメなんだ?」

1つは、特許制度が「技術」を進歩させることを目的としているからです。
発明が特許されると、特許権者は、その発明を独占的に実施することができます。
言ってみれば、国から「独占権」というご褒美を与えられるようなものです。発明を独占できるのはありがたいことなので、多くの会社が良い発明をして特許を取ろうとする。
つまり、研究・開発が活発になされて技術が進歩するという構図になります。
他方、自然法則を利用していないビジネスモデルは技術を進歩させない。

もう一つは、「特許制度は自由競争の例外」ということです。
基本的にビジネスの世界では「自由競争」が前提となっています。
そんな中で発明を「独占」できるのは例外です。
ここで、自然法則を利用していない「人間が考えたビジネスの方法」にまで独占権を与えてしまうと、自由競争を阻害しすぎると考えられるからです。

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