昨日(9/18)の朝日新聞の朝刊に、「おなじみのフレーズが商標登録しやすくなる」といった趣旨の記事が掲載されていました。
商標登録をするには特許庁に商標登録出願という手続を行います。
そして、特許庁では、出願された商標を登録すべきか審査します。
特許庁の審査では「商標審査基準」という基準に則って審査が行われます。
この「商標審査基準」には、「標語(例えば、キャッチフレーズ)は、原則として、商標登録をすることができない」ということが記載されています。
朝日新聞の記事によれば、キャッチフレーズなどの商標登録が認められ易くなるように、特許庁が商標審査基準を改訂する方針であるとのこと。
しかし、そもそも、商標審査基準では、「原則として」となっていました。
この「原則」がクセ者です。
つまり、「例外」があるということ。
商標の登録例をたくさん見ていると、この「例外」がとても多いことがわかります。
このことから、もともと「キャッチフレーズなどは、商標登録されないから、商標のことをあまり気にしなくよい」ではなく、
「キャッチフレーズも商標登録される可能性があるので、ちゃんと商標のことをケアしておかないと心配だ」と考えておくべきものなのです。
なので、商標審査基準が改訂されても、これまで通り対応しておけば問題ないように思ってはいるのですが。
改訂案には、キャッチフレーズなどの商標登録を認める場合の基準案があるとのこと
1) 商号などが含まれている
2) ロゴなどの図形と一体化している
3) 長期間使っている
4) 第三者が似たものを宣伝に使っていない
など
この基準案はいただけません。
1)と2)・・・商号やロゴはもともと商標登録が認められ易い要素です。
なので、1)と2)の基準案では、商号やロゴがあるから商標登録が認められるのであって、キャッチフレーズそのものを商標登録を認めることにはならない。
3)・・・「長期間」って、単純に何か月なのか?何年なのか?という問題があります。
それに加え、商標登録制度は先に出願した者勝ちの制度です。
早く出願した方がいいのに、しばらく使ってからでないといけないとは...
しばらく使っている途中で、大企業が似たようなキャッチフレーズを莫大な広告費を使って有名にしてしまえば、中小企業には不利です...
出願戦略が難しくなります。
4)・・・ネットで検索すれば、誰か似たようなもの使ってそうですよね。
基準案を見ていると、逆にキャッチフレーズの商標登録のハードルが上がりそうな…
基準案の4)はさらに問題が。
「第三者が似たものを宣伝に使っていない」ってことは、今は使われているけど、来年は使われてないってことがあり得ます。
となると、今自分があるキャッチフレーズを出願したとして、「第三者が似たものを宣伝に使っているから」商標登録されずに拒絶される。
でも、来年、他の人が、自分が出願したのと全く同じキャッチフレーズを出願した場合には、他人のキャッチフレーズは商標登録されてしまう、なんてことが起きてしまいますね。
基準案の正式なものを見ていないので、詳細はわかりませんが。