商標の試験を行います。

何の前触れもなく、イキナリ商標の試験を行います。

第1問
A社は、指定商品を「まんじゅう」とする登録商標「ラブラドール」を所有している。
B社は、まんじゅうに「LABRADOR」という商標を使用している。
このB社の行為は、A社の商標権を侵害するか?

<答>B社の行為は、A社の商標権を侵害する。

【解説】まず、前提として商標権を侵害するかどうかは、商標と商品(又はサービス)の両方を考える必要があります。
つまり、2つの商標が同一か類似で、かつ商品(サービス)が同一か類似の場合に商標権を侵害することになります。

第1問のケースでは、商品はA社もB社も「まんじゅう」なので同一です。
商標はA社が「ラブラドール」でB社が「LABRADOR」。片仮名かローマ字かの違いですので両者は類似となります。
一般的に、同じことばを平仮名、片仮名あるいはローマ字に置き換えただけの商標は相互に類似するものとお考えください。


第2問
A社は、指定商品を「まんじゅう」とする登録商標「ラブラドール」を所有している。
B社は、まんじゅうに「LABRADORまんじゅう」という商標を使用している。
このB社の行為は、A社の商標権を侵害するか?

<答>B社の行為は、A社の商標権を侵害する。

【解説】第1問と同様に、第2問でも商品は両者とも「まんじゅう」なので同一です。
商標はA社が「ラブラドール」であるのに対し、B社は「LABRADORまんじゅう」。
「ラブラドール」と「LABRADORまんじゅう」は類似するのか?

B社の商標は「LABRADOR」と「まんじゅう」という2つの言葉から成り立っています。このように複数のパーツからなる商標を「結合商標」といいます。
で、結合商標の場合、結合商標を構成するパーツごとに考えて商標が類似するかどうかを判断する手法があります。この手法は「分離観察」とか「要部観察」なんて呼んだりします。
具体的にいいますと、商標は自社商品(サービス)と他社商品(サービス)とを区別するものでした。
「LABRADOR」は「まんじゅう」という商品との関係では区別可能です。なぜなら、「LABRADOR」はまんじゅうの名称として一般的に使われている言葉でないからです。なので、この「LABRADOR」の部分は商標が類似するかの判断において重要な部分となります。そのため、こういう部分を「要部」と呼んだりします。
一方、「まんじゅう」の部分は、言うまでもありませんが、商品「まんじゅう」との関係では区別不能ですので、あまり重要でないから商標が類似するかを判断する際に考慮しません。
そして、この要部である「LABRADOR」の部分とA社の「ラブラドール」を比較すると、第1問と同様に両社の商標は類似する、となるわけです。

が、実は「全体観察」なんて手法もあるのです。
どういうことかというと、文字通り、商標全体で比べるということです。
つまり、A社の商標「ラブラドール」とB社の商標「LABRADORまんじゅう」全体とを比べるわけです。
この場合は、B社の商標には「まんじゅう」が含まれているため、読み方も、見た目も、意味合いもA社の商標と異なるので商標はお互いに非類似ということになります。

「分離観察」・「要部観察」と「全体観察」とでは、結論が全く異なってきますので恐ろしいですね。

最近では裁判所は全体観察を基本とみているような判決も見受けられます。ただ、特許庁の「商標審査基準」というものには、しっかり「分離観察」・「要部観察」のような手法で判断することも書いてあります。いずれの観察方法をとるかの判断は非常に難しいです。

ただ、第2問はかなりわかりやすい問題なので、上記の解答でよいと思います。