「リニア」商標

昨日の朝日新聞の朝刊に「リニア」商標の記事が載っていましたね。

要約すれば、「リニア」関連の商標について、当事者であるJR東海が「鉄道輸送」のサービスなどを指定役務として商標登録しているのはいいとして、その他の商品・サービスの分野で、「リニア」関連の商標が第三者によって商標登録されてしまっているとのこと。

これでどうなるかというと、「リニアモーターカー」関連のグッズ、例えば、おもちゃ、文房具、お菓子などに「リニア」商標が使えない...

JR東海が、商品「おもちゃ、文房具、お菓子」などについても「リニア」商標を登録して、関連グッズの製造・販売を希望する事業者に、JR東海がライセンスを行う、というのが本来あるべき姿といえます。JR東海があらかじめ、もう少し広い範囲で商標登録しておけばよかった...

実は、こういうこと、結構起こるんです。
これは、話題性のある商標「リニア」を他社にライセンスできるかどうか、という事例でした。

で、少し異なる事例になりますが、中小企業・個人事業主様にも関連深いものをご紹介します。

[事例1]
弁当を販売しているA社は、自社の弁当屋の店の名前「LABRADOR」を「飲食物の小売サービス」(指定役務 第35類。弁当屋のサービスはこれに該当します)の分野で商標登録しています。
A社は、パイロットショップとして、弁当屋と同じブランド「LABRADOR」で、レストランを始めようと考えています。
ところが調べてみると、商標「LABRADOR」は、「飲食物の提供」(指定役務 第43類。レストランはこれに該当します)の分野で他社に商標登録されていて使えない...

[事例2]
行政書士のBさんは、「行政書士事務所LABRADOR」という事務所名を、行政書士の本来的な業務である「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成及びそれらの手続の代理」というサービスを指定役務(第45類)として商標登録しています。
Bさんは、行政書士として、会社の設立を支援する仕事も多く行ってきたので、起業ノウハウもかなり習得しました。
そこで、Bさんは、本来的な行政書士業務に加えて、「起業コンサル」サービスを始めようと考えています。この場合、「起業コンサル」サービスも「LABRADOR」商標のもとで行うことになります。
ところが調べてみると、商標「LABRADOR」については、既に「コンサルティング」(指定役務 第35類)の分野で他社に商標登録されている...


こういったこともよく起こります。

なので、あらかじめ自社の将来的な事業展開(事業領域の拡大)を見据えて、商標出願戦略を考えることも必要かと。

「じゃあ、最初からすべての商品・サービスで商標登録してしまえば?」という疑問がでてきますよね。
この点については、次回お伝えします。

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