学校にも商標登録は必要?

商標登録といえば、会社や個人事業主が”ビジネス”の場面で使うツールと考えられがちです。

確かに、会社名や会社のロゴ、商品名、サービス名、店舗名などは、典型的な商標登録の対象です。

一方、学校法人が提供する学校において知識を教授するサービスは、何となく”ビジネス色”があまり強くないので、商標登録とは無縁のように思われるかもしれません。
しかし、学校法人の教育も”ビジネス”には変わりありませんので、学校の名前や校章などは商標登録の対象となり得ます。

学校 勉強のイメージ

学校における”教える”サービスは第41類

商標登録をする場合には、商標登録を希望する商標を、どのような商品・サービスに使用するのかを決め、決めた商品・サービスを商標登録出願の際の願書に記載します。
こうした商品・サービスを指定商品・指定役務と呼びますが、商品・サービスは、第1類から第45類までの45通りの「区分」に分類されています。
そのうち、第41類という区分には、例えば、「小学校における教育」、「中学校における教育」、「高等学校における教育」、「大学における教授」といったサービスが含まれることになっています。

ちなみに、こうした学校のみならず、自動車学校、専門学校、スポーツ教室、生け花教室など、”ものを教える”サービスは基本的に第41類に含まれます。

学校名の商標登録は意外と多い

第41類に含まれる「知識の教授」というサービスをしている登録商標のうち、以下の文字を含む商標を調べてみましたので(2017年8月18日調査時点)、その登録商標の件数とあわせてご紹介します。

「学校」という文字を含む登録商標(出願中を含む。以下同じ。) 818件
「大学」という文字を含む登録商標 749件
「学園」という文字を含む登録商標 324件
「学院」という文字を含む登録商標 536件

以上の文字を含む登録商標が必ずしも全て学校の名称とは限りませんが、相当数のものが学校名の登録商標と考えられます。

学校名を商標登録していないことのリスク

学校の名称を商標登録していないことによるリスクは、通常のビジネスにおいて商標登録をしていない場合と同様です。

つまり、以下の2つのリスクが起こり得ます。

他者に同じような学校の名称等を使用されても、それを止めさせることが困難になる。

他者に同じような学校の名称等を商標登録されてしまうと、自分の学校の名称等を使用することができなくなる。

特に、2点目の自分の学校の名前を使えなくなってしまうことは、非常に大きリスクといえます。
自分が使用している名称と同じような名称を他人が商標登録してしまうなんて偶然、起こりっこない、とお考えの経営者の方もいらっしゃるのですが、上述のように、”教える”サービスは一般の学校だけではなく、自動車学校、専門学校、スポーツ教室、生け花教室など、その他の”教える”サービスを提供している事業者とも競合する分野なので、商標の取り合いの競争の激しい分野です。
同じような名称を商標登録されてしまう偶然は、それ程低い確率ともいえないかもしれません。

学校名の商標に関する争い

学校の名前に関する商標の争いは、以前からありましたが、近年、話題になりました大学名に関する2つの紛争案件をご紹介します。

「京都市立芸術大学」VS「京都芸術大学」

元々は「京都造形芸術大学」という大学名が「京都芸術大学」という校名に変更されたことによって生じた紛争です。
「京都造形芸術大学」から「京都芸術大学」への校名変更を許さなかったのが「京都市立芸術大学」です。
京都市立芸術大学側は、「京都市立芸術大学」と「京都芸術大学」は大学名が似ているので紛らわしく、学生や受験生等が混乱するとして、不正競争防止法違反を理由に訴訟を提起しました。
2020年9月の時点での情報では、地方裁判所の判決は出ていて、京都芸術大学側が勝訴したようですが、京都市立芸術大学が控訴したようですので、裁判の最終的な結論は、まだわかりません。
この事件に関連して、両校は、大学名や大学名の略称などを商標登録しようとして、商標の出願合戦も行われています。

「大阪大学」VS「大阪公立大学」

大阪公立大学は、大阪市立大学と大阪府立大学を統合して、2022年4月に設置される予定の大学のようです。
この事件の相手方は、大阪大学です。
大阪大学は、新しく設置される「大阪公立大学」という大学名については、特に異議を唱えていないようですが、大阪大学が問題視しているのは、大阪公立大学側が特許庁に商標登録出願をした「University of Osaka」という大学の名称を英語表記した商標です。
大阪大学は、「University of Osaka」という商標は、留学生や海外などで大阪大学のことと混同されるおそれがある等として、大阪公立大学側の商標登録出願が特許庁の審査に通らないようにするべく、特許庁に「刊行物等提出」(情報提供)という手続を行っています。
なお、現時点では、商標「University of Osaka」についての特許庁の審査結果はまだ出ておりません。

 

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