商標法第六十条

商標法第六十条は、前条に引き続き、再審により回復した商標権の効力の制限に関する規定ですが、本条は、特に再審により商標権が回復した際の”中用権”に関する規定です。

第一項

具体的には、取り消し若しくは無効とされた商標権が回復した場合や、拒絶審決が再審により覆され商標権が設定された場合に、当該取消決定又は審決確定後再審請求登録前に善意で使用した結果周知となった商標は、継続して使用することができるという規定になります。
具体的な条文は以下の通りです。

「取り消し、若しくは無効にした商標登録に係る商標権が再審により回復した場合、又は拒絶をすべき旨の審決があつた商標登録出願について再審により商標権の設定の登録があつた場合において、当該取消決定又は審決が確定した後再審の請求の登録前に善意に日本国内において当該指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について当該登録商標又はこれに類似する商標の使用をした結果、再審の請求の登録の際現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。 」

第二項

第二項は、商標法第三十二条第二項を準用していますので、第一項の中用権が認められた場合でも、商標権者及び専用使用権者は、中用権を有する者に対して”混同防止表示請求”をすることができます。
具体的な条文は以下の通りです。

「第三十二条第二項の規定は、前項の場合に準用する。 」