商標法第十九条

商標法第十九条は、商標権の存続期間に関する規定です。

第一項

第一項は、商標権の存続期間は十年であることを規定しています。
具体的な条文は以下の通りです。

「商標権の存続期間は、設定の登録の日から十年をもつて終了する。」

第二項

第二項では、商標権の存続期間は、更新登録申請によって更新することができることを定めています。
また、更新は何回でもできますので、半永久的に商標権を存続させることも可能です。
具体的な条文は以下の通りです。

「商標権の存続期間は、商標権者の更新登録の申請により更新することができる。 」

第一項で商標権の存続期間は十年であることを定め、第二項では商標権の存続期間は更新できることを定めています。
これは、同じく知的財産権である特許権、実用新案権及び意匠権と根本的に異なります。
すなわち、特許権、実用新案権及び意匠権に関しては、存続期間に「更新」という概念が存在しません。ですので、これらの知的財産権は、商標権のように半永久的に権利を存続させることはできません。
特許権、実用新案権及び意匠権においては、新規な発明等を保護する制度であり、特許権者等に対しては新規な発明を公開したことの代償として一定期間の独占実施期間を認め、一方で社会全体においては早期に当該発明を自由実施したいという要求があるので、特許権等の存続期間に更新は認めず、有限の存続期間とすることによって調和を図っています。
これに対し、商標権は、商標を使用する者の信用を保護します。このような信用は、商標を長期間使用すればするほど蓄積されていくのが一般的ですので、商標権の存続期間を有限としたのでは、このような信用を保護することができないためです。
そうはいっても、商標権を無条件に永久の権利とすることは行き過ぎですので、必要であれば更新登録申請をして更新できるような制度設計となっています。

第三項

第三項では、更新登録の効果について規定しています。
更新登録申請をいつ行って、更新登録がいつ行われたかではなく、更新登録の効果は、存続期間の満了の時に更新されたものとされます。
具体的な条文は以下の通りです。

「商標権の存続期間を更新した旨の登録があつたときは、存続期間は、その満了の時に更新されるものとする。 」